IBM、AIで利益は増加するが売上はまだ成長の影に
IBMは生成AI(GenAI)のブームによって、売上高(トップライン)よりも利益(ボトムライン)に大きな恩恵を受けているとされる。ハイパースケーラー企業やクラウドサービスプロバイダーが、コンピューティングやネットワーク、ストレージ分野で主導権を握っているが、IBMやマイクロソフト、オラクルなどのシステムやアプリケーション企業も、企業向けのバックオフィス処理や分析システムのアップグレードを通じて、GenAIの成長に貢献している。 IBMの2025年第2四半期の売上高は前年比7.8%増の170億ドル近くに達し、純利益は19.6%増の21.9億ドルに上った。特に「Telum II」メインフレームプロセッサとSystem z17サーバーの出荷開始により、売上と利益が大きく伸びた。また、IBMは自社のサプライチェーンやバックオフィス、販売業務にAIを導入し、人件費削減と利益向上に寄与している。同社のCFO、ジム・カナヴァン氏は、2024年末時点でAIによる年間節約額が35億ドルに達し、2025年末には45億ドルに達する見込みだと示唆している。 Client Zeroという取り組みを通じて、IBMは自社でAIを活用し、企業がAIを導入してコスト削減や業務効率化を実現できる例を示している。また、watsonx Orchestrateというツールを使い、150種類のAIエージェントを提供し、HRやIT運用など幅広い業務に活用されている。 一方、GenAIに関連するビジネスの売上は、2025年第2四半期時点で75億ドルに達しているが、その構成は明確にされていない。IBMは、今後のz17やPower11のハードウェア出荷にGenAIの影響を強調する可能性がある。AIアクセラレータの導入によって、IBMのハードウェア販売が倍増する可能性もあると予想されている。 IBMのシステム事業は、Red Hatの買収により再び成長を遂げており、この分野の収益は90億ドルを超える。これは、ハードウェアやソフトウェア、サービスの売上高を押し上げる重要な要因となっている。一方で、GenAIの売上高はまだ全体の収益に占める割合は小さく、今後の展開が注目されている。