メタAI研究所の「極めてフラットな構造」が注目集める　ザッカーバーグが人材集団の重要性を強調

メタのマーク・ザッカーバーグCEOは、同社の超知能研究ラボ（スーパーアイラボ）を「限られた座席を持つ船」にたとえ、極めて少数の優秀な人材を集めたグループ科学プロジェクトだと強調した。ザッカーバーグは「The State of AI with Rowan Cheung」ポッドキャストで、「船の座席は貴重だ」と述べ、人材の質が極めて重要であると説明。ラボの規模は、ボーイング737マックスに座席が余るほど小さく、50～100人の超ハイパフォーマンスチームで構成されていると語った。 このラボは、トップダウンの納期や管理の層を極力排除した「非常にフラットな構造」を採用している。ザッカーバーグは「研究は未知の領域を進むもの。期限を設定しても意味がない」とし、研究者自身が前線で競い合う環境を重視。管理職に非技術者を配置するのではなく、技術者としての実務を継続することが求められると強調。AI分野は急速に進化するため、知識の「腐敗」が起きやすく、長期間実務から離れた管理職は現場の理解を失う危険があると指摘した。 ラボの設立は、Llama-4の開発が「正しい方向に進んでいない」と判断したことに始まる。メタは150億ドルを投じ、データラボ「Scale AI」の約50％を取得。同社CEOのアレクサンドル・ワン氏もラボを率いる立場に就任。さらに、OpenAIやグーグル・ディープマインドから優秀な人材を多数引き抜いた。入社者は高額な報酬と、膨大なGPUリソースの利用権を得るなど、大きなインセンティブがある。 ザッカーバーグは、ラボの成功は「一人の不適任者がチーム全体に大きな負の影響を与える」と述べ、人材の質を最優先に据える必要性を訴えた。この取り組みは、メタが長年推進してきた「組織のフラット化」戦略の延長線上にある。AI研究のスピードと質を最大化するため、管理の階層を極限まで削減する構造が、今後の超知能開発の鍵となる可能性がある。