RAG 2.0で進化:会話型チャットボットにアップグレードする実践ガイド
OpenAIの共同創業者Andrej Karpathy氏が、人工知能(AI)の活用に警鐘を鳴らしている。彼は、AIが人間の知能を模倣する「人間の精神」とも言える存在であり、誤った情報を生成したり、記憶を失ったりする点に注目し、「AIをリードで歩ませる」べきだと強調している。特に、AIエージェントが自律的に動くようなシステムでは、人間の監視と制御が不可欠だと指摘。AIが「9.11が9.9より大きい」といった人間にはありえない誤りを犯す一方で、コード生成では高速に大量の出力を可能にするため、開発者は安易に信頼せず、段階的に確認しながら進める必要があると説明している。 一方、技術的にはRAG(Retrieval-Augmented Generation)の進化が進んでおり、最新の「RAG 2.0」では、単なる一問一答ではなく、会話記憶を保持し、過去のやり取りを考慮した対応が可能になっている。具体的には、RecursiveCharacterTextSplitterを用いて文脈を壊さない形でテキストを分割し、ConversationBufferMemoryでチャット履歴を保存。さらに、PromptTemplateをカスタマイズすることで、AIがより自然な会話形式で応答するようになる。また、ユーザーがキーワード検索を行い、検索結果を確認・調整できるUIも実装可能で、AIの出力に対する制御力を高めている。 これらの技術的進化により、AIは「金魚の記憶」から「ChatGPTのような会話型AI」へと進化。開発者はAIの限界を理解しつつ、適切なプロンプト設計と検索制御を組み合わせることで、信頼性と使いやすさを大幅に向上できる。企業側でもAIによるコード生成の利用率が拡大しており、グーグルでは新規コードの30%以上がAIによって生成されている。しかし、Karpathy氏の警告通り、AIの能力に過信せず、人間の判断と監視が今後も不可欠であることが改めて示された。