全米教師組合、AI大手3社と提携してAI教育アカデミー開設へ
アメリカ教師連盟(AFT)は7月8日、大規模人工知能(AI)企業であるアンスロピック、マイクロソフト、OpenAIからの支援を受け、「全米AI教育アカデミー」の開設を発表した。このアカデミーは、2300万ドルの資金で運営され、AIが教室で安全かつ倫理的に活用されるよう教師のトレーニングを提供することを目指している。OpenAIは5年間で1000万ドル、マイクロソフトは1250万ドル、アンスロピックは初年度に50万ドルを提供すると、AFTの広報 Andrew Crook が明らかにした。 教育界ではAIの導入によって教師が置き換わるかもしれないという懸念がある中、AFTは教師の役割を守りつつ、AIを教育に取り入れることで、授業の質を向上させることを目指していく。AFT会長の Randi Weingarten は、「教師と子どもたちの直接的なつながりは新たなテクノロジーで代わり得るものではないが、AIを適切に活用すれば教育はより充実する」と述べた。 コースは今年秋からニューヨーク市マンハッタンのUnited Federation of Teachers(UFT)施設で開始され、テクノロジー企業からの資金も追加の拠点設立に向けて使われる予定だ。UFTはAFTの支部であり、2030年までに全米に新たに複数の拠点を開設する計画を立てている。AIエキスパートと教育者が協力して設計されたプログラムには、ワークショップ、オンライン講座、実践的なトレーニングセッションなどが含まれる。 AFTが目指すのは、その組合の180万人の会員全員に無料のオンライントレーニングを提供することだ。特にK-12(幼稚園から高中的な教育機関まで)の教育者に重点を置き、今後5年間に約40万人(全米の教師の約10%)を対面型の施設でトレーニングする予定だ。 AIはすでに教育現場で大きな影響を及ぼしており、学生や教師がChatGPTなどのAIツールを利用することが多くなっている。投資銀行Tyton Partnersの最近の調査によれば、教師たちがAIツールの使用頻度を増やしている。これにより、不正行為や剽窃防止といった課題が新たに生じており、一部の学校ではAI検出ソフトウェアを導入している。MITの研究では、AIへの過度の依存が脳の活動や重要な認知機能を低下させる可能性があることが示されている。 Weingarten は、教師の役割を尊重しながらAIを建設的に活用することが重要だと強調している。マイクロソフトの全米公共政策部長 Gerry Petrella も同様の見解を示し、「学生にとって最大のBenefitを得られるのは、教師がこのツールの中心に立つときだ」と述べている。 AFTは、教育者がAIの恩恵を受けるためには、専門知識を持つ人々から適切な指導を受けることが不可欠だと考えている。全米AI教育アカデミーは、この目標を達成する重要なステップとなるだろう。