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GoogleがAI検索機能の導入でサイトトラフィックが減少しているとの指摘を否定、Web全体への影響はないと強調している。

19日前

GoogleがAI検索機能の導入によってウェブサイトへのトラフィックが大幅に減少しているという指摘に対して、同社は「全体としての有料クリック数は安定している」と反論した。Google検索本部のリード・リード氏はブログで、過去1年間の有機的クリック数は「相対的に安定」しており、平均的なクリック品質もわずかに向上していると主張。彼は、第三者調査が「誤った手法」や「孤立した事例」に基づいていると指摘し、AI機能導入前のトレンドと混同している可能性を示唆した。 しかし、Googleの主張は全体データにとどまり、個別のサイトへの影響は明示されていない。実際、AIオーバービュー(AI概要)の導入以降、ニュースサイトへのゼロクリック率は2024年5月の56%から2025年5月には69%に上昇したというSimilarwebの調査結果もある。これは、ユーザーがAIの要約で情報を得て、リンクをクリックしない傾向が強まっていることを示している。また、Business Insider、ワシントン・ポスト、HuffPostなど主要メディアはトラフィック減少を受けて人員削減を実施している。 一方で、Googleは「クリックの質」の向上を強調。AI概要からサイトに遷移したユーザーは、より深くコンテンツを読む傾向があるとし、こうしたクリックは「より価値がある」と説明。また、AIオーバービューでは従来より多くのリンクが表示されるため、サイトの可視性が高まる可能性があると述べ、AIを「発信機会の拡大」と位置づけている。 しかし、この「質の向上」が「量の減少」を補っているとは言い難い。ユーザーの検索行動そのものが変化しており、特に若年層はGoogle検索よりもTikTokやInstagramで情報収集を行う傾向が顕著。2022年にはGoogle幹部が「若者の40%がランチの場所探しでGoogleマップを使わない」と語っており、検索の中心性が揺らいでいることが明らかだった。また、Amazonがショッピングの第一関門となり、Redditが情報調査の起点になっていることも、Googleの懸念材料となっている。 この背景を踏まえ、GoogleはAIが「検索の終焉」をもたらしているというより、検索自体が既に変化の波にさらされていると読み解ける。AI機能はその変化を加速させたが、根本的な要因はユーザーの行動の多様化にある。Googleは、この状況を受け、出版者向けに広告以外の収益モデル(マイクロペイメント、ニュースレター登録など)を支援する新製品を提供し、収益構造の転換を促している。 結局、Googleの主張は「クリック数は減っていない」という数字の話であり、実際のメディアの苦境を否定するものではない。AIがトラフィックを奪っているという現実と、Googleの「安定」という主張の間には、依然として大きなギャップがある。ユーザーの関心が「フォーラム」「動画」「実体験」などのコンテンツに移っていることは事実であり、それこそがAI機能がもたらした「転換の兆し」である。

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