プログラマがOpenAIツールを破り、AtCoder世界大会で優勝 ポーランドのプログラマ、Przemysław Dębiak(Psyho)がOpenAIのモデルを破り、AtCoder World Tour Finals 2025 Heuristic Contestで見事優勝。競技プログラミングの未来に新たな光を照らす。
プログラマがOpenAIのツールを破り、AtCoder World Tour Finals 2025 Heuristic Contestで優勝 11月27日、ポーランドのプログラマ、Przemysław Dębiak(コンペティションでの名前「Psyho」)が東京で開催されたAtCoder World Tour Finals 2025 Heuristic ContestでOpenAIのAIツールを破り、見事優勝を果たした。このコンペティションは、日本発の競技プログラミングサイトAtCoderが主催し、年間で開催されるものである。本次のイベントではOpenAIのAIモデルが参加し、2位という好成績を収めたが、Dębiakは最終的にAIに対して9.5%の大差をつけた。 Dębiakは、コンペティションの直前1週間にOpenAIの参戦予定を知ったという。彼はAIが「エンジニアリングの基本的な部分」では人間を上回るが、「長時間を要する複雑な課題」では人間に及ばないと分析している。本次の10時間にわたるコンテストでは、彼はアルゴリズムの最適化を行った。目標は、30x30のグリッド上でロボットを最小限の移動で GUIDE するプログラムを書くことだった。「途中で疲弊感を感じ、休息が必要だと感じました」とDębiakはBusiness Insiderに語ったが、「しかし、AIと同等のスコアを出す可能性が見えたことが、私のエネルギーを引き出しました」。 コンペティションの管理者、Yoichi Iwata氏は、OpenAIのAIモデルが類似する手法を使っている参加者を上回ったものの、Dębiakが全く異なるソリューションを見つけることができたと述べている。「AIが最適化能力で人間を上回る一方、人類の創造性にはまだ及ばなかった」とIwata氏は続けた。 業界の反応と背景 Dębiakの優勝はOpenAIのCEO、Sam Altmanからも注目され、X(元Twitter)で「well done Psyho」と祝福された。OpenAIも公式にXで次のように述べている。「当社のモデルがAtCoder Heuristics World Finalsで2位となりました。今大会のチャンピオンに対してお祝い申し上げます」。 過去にもAIは多くの競技で優れた成績を挙げている。1997年にIBMのDeep Blue AIがチェスのグランドマスターGary Kasparovを破り、2016年にはGoogle DeepMindのAlphaGoが囲碁世界チャンピオンのLee Sedolを打ち破った。また、最近ではMicrosoft、Google、MetaのCEOらが、AIがソフトウェア開発の大きな部分を担うようになったと報告している。 OpenAIのCEO、Altmanは2月に、「今年中にAIがプログラミングコンテストで人間を凌駕する可能性がある」と述べていた。さらに3月には、「各ソフトウェアエンジニアがより多くの仕事をすることが可能になり、将来的には必要数が減少する可能性がある」との考えを示している。Dębiakの勝利は人間の創造力と意志の強さを示す象徴的な出来事となった。 Dębiakは41歳で、Visual Studio Codeという一般的なソフトウェア開発プラットフォームを使って参加了。彼はワルシャワから飛行機で東京へ向かい、3日間で10時間の睡眠しか取っていないのに「人類が勝利を収めた(少なくとも現在は!)」と喜びの声をSNSで発表した。