LLMとLangChainで非構造化データから構造化データを抽出する実践手法
大規模言語モデル(LLM)とLangChainを活用して、非構造化データから構造化データを抽出する方法について解説する。近年、ChatGPTやGoogle BARDなど大規模言語モデルの進化により、自然言語処理の分野に大きな変化が起きている。特にOpenAIやMetaが開発したモデルは、コード生成や文章作成など多様なタスクに活用されており、2023年秋時点でOpenAIは140億ドル、AnthropicやHugging Faceなども数億ドル規模の資金調達を実現している。こうした背景の中、開発者はLLMの力を最大限に引き出すためのツールの必要性が高まっている。 その中で注目されるのが、LangChainというフレームワークだ。LangChainは、LLMと外部リソース(例:データベース、ファイル、APIなど)を統合し、一貫した構造化出力を実現するための強力なツールである。特に、非構造化なフィードバック文書からスコアを抽出するという課題に対して、従来のAPI呼び出しでは出力の形式が不安定になる問題を、LangChainで解決できる。 具体的には、OpenAIのGPT-3.5 Turboと組み合わせ、ResponseSchemaで出力形式(例:Overall_Score、Technical_Scoreなど)を定義し、StructuredOutputParserでJSON形式に強制的に変換することで、出力の一貫性を確保する。また、ChatPromptTemplateにより、モデルに明確な指示を出せるため、たとえ同じプロンプトでも出力のばらつきが大幅に減少する。 実際のコード例では、エンジニアのフィードバック文を入力し、5つの評価項目(全体評価、技術力、コミュニケーション、責任感、チームワーク)のスコアを自動抽出。結果として、{'Overall_Score': 6.5, 'Technical_Score': 5, 'Communication_Score': 6, 'Ownership_Score': 7, 'TeamPlayer_Score': 6}のように、データベースやダッシュボードに直接使える構造化データを得ることが可能になった。 このように、LangChainはLLMの柔軟性と、構造化データ生成の必要性の間のギャップを埋める画期的なツールであり、人事評価や業務分析など、実務現場でのAI活用を実現する鍵となる。今後は、ベクトルデータベースとの連携によるより高度な情報検索機能の開発も期待される。