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AIで医師の書類作業を解消:a16zとOpenAIが投資する医療AIスタートアップ「Ambience Healthcare」が独角兽に

5日前

米国でAIを活用した医療行政支援の新興企業「Ambience Healthcare」が、2.43億ドルのCラウンド資金調達を成功させ、10億ドル以上の企業価値を達成し、医療分野の「ユニコーン企業」に仲間入りした。この資金調達は、著名なベンチャーキャピタル・Andreessen Horowitz(a16z)とOak HC/FTが共同リード。OpenAIの創業基金やKleiner Perkins、Optum Venturesをはじめとする既存投資家も引き続き出資し、Frist Cressey Ventures、Town Hall Venturesら複数の新規投資家も参加した。 同社は2020年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の校友であるMike Ng氏とNikhil Buduma氏によって設立され、医療現場の大きな負担源である「文書作成」の自動化に特化。医師や看護師が電子健康記録(EHR)の入力や診療記録の作成、保険請求コードの変換などに費やす時間は、多くの医療従事者の職業的倦怠感の主因とされている。Ambience Healthcareは、医師と患者の対話をリアルタイムで「環境音声認識(ambient listening)」で捕捉し、自動的に構造化された診療記録を生成するAIプラットフォームを提供。このプラットフォームはEpic、Cerner、athenahealthなど主流のEHRシステムと連携可能で、手動でのデータ入力やシステム間の切り替えを大幅に削減する。 同社の技術の核は、100以上の医学専門分野に特化した専用AIモデル。例えば、腫瘍科では研究登録に必要な詳細データを抽出し、精神科では感情の変化を識別する機能を備える。これにより、診療内容に応じた適切な記録が自動生成される。診療後には、ICD-10やE/Mコードの自動生成、コンプライアンスチェックまで行い、誤記や請求ミスを防ぐ。 実際の導入実績として、クライヴランドクリニックは6か月間の厳格なテストを経て、Ambienceを他社と比較し、最終的に5年間の独占契約を締結。テスト結果では、医師の患者との対面時間は平均32%増加、診療記録の当日完了率は7%向上、非勤務時間での「睡衣時間」(帰宅後の文書作業)は約50%削減された。同クリニックのデジタルヘルス担当ディレクターは、「他のプラットフォームと比べ、生成される記録の質に顕著な差がある」と評価した。 a16zのジュリー・ユー氏は、「単なる音声変換ではなく、臨床現場に根ざした包括的なAIプラットフォームとしての可能性」に注目した。今後、Ambienceは資金を活用し、プラットフォームの拡張と新製品開発を加速。チームも180人規模からさらに拡大し、米国だけでなく、グローバルな医療機関への展開を目指す。同社のビジョンは「医師が診察に集中する世界」の実現。行政作業を「見えない」ものにし、医療の質と効率を根本から変える。

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