米FDAがAI病理学ソフト「ArteraAI Prostate」の販売承認を付与、前立腺がんの精密医療に新たな地平を開く
米国食品医薬品局(FDA)は、アーテラ(Artera)が開発したAIを活用した病理学ソフトウェア「ArteraAI Prostate」に、初の「De Novo承認」を付与した。これにより、非転移性前立腺がん患者の長期予後を予測するAIソフトウェアとして、米国で初めて医療機器としての認可を受け、臨床現場での使用が可能になった。ArteraAI Prostateは、ソフトウェアとしての医療機器(SaMD)として規制対象となり、病理科での診断段階で即座に臨床意思決定を支援する情報提供が可能になる。 同ソフトウェアは、患者の組織画像と臨床データを統合して解析する「マルチモーダルAI(MMAI)」技術を基盤としており、がんの進行度や治療効果の予測を高精度で行う。この承認は、前立腺がん治療における精密医療の前進を示すもので、診断時から迅速に個別化された治療判断が可能になるという点で、臨床現場の課題を解決する。 アーテラCEOのアンドレ・エステヴァ氏は「AIががん治療に革新をもたらす重要な瞬間だ」と語り、同社のMMAIプラットフォームが、データに基づく個別化治療を実現し、患者の治療経験をより安心なものにすると強調した。また、トゥルコア病理グループのアダム・コール氏は、「病理学的サービスの需要が人手を追い越す中、ArteraAI Prostateは効率化と質の向上を両立する画期的なツール」と評価した。 De Novo承認は、新規かつ革新的な医療機器向けの手続きであり、同社が既に受けた「ブレイクスルー機器指定」に続く重要な成果。さらに、予定された変更管理計画(Predetermined Change Control Plan)により、今後も他のデジタル病理スキャナとの互換性を追加する際、追加の審査手続きを必要としない点も特徴だ。 Arteraは、この承認を機に、乳がんや生検用のAI診断ツールも含む、MMAIプラットフォームの拡充を進めている。本承認により、米国および英国で医療機器としての認可を取得した製品ラインが強化され、グローバルな精密医療の実現に貢献する。