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AIが実現する耐久性百年のコンクリートと二酸化炭素吸収技術

9日前

AIの力で、耐久性が高く、二酸化炭素を吸収するコンクリートの開発が可能になった。米国南カリフォルニア大学(USC)バイテル工学学部の研究チームが開発したAIモデル「Allegro-FM」は、数十億の原子を同時にシミュレーションし、新しい材料の設計と発見を可能にした。この技術により、コンクリートが二酸化炭素を吸収し、持続可能な建材となることが理論的に実現可能になった。 研究を主導したAI専門のアイチロウ・ナカノ教授と化学工学のノムラ教授らは、昨年1月のロサンゼルスの山火事をきっかけに、気候変動と建材の持続可能性に注目。彼らの研究は「CO2封じ込め」と呼ばれる、二酸化炭素を再捕集して保存する技術を追求している。Allegro-FMは、コンクリートの製造過程で排出されるCO2を再び材料に取り込む方法を発見し、二酸化炭素ゼロのコンクリートが可能になった。 従来の分子シミュレーションは数千や数百万の原子に限られていたが、Allegro-FMは40億以上の原子を97.5%の効率でシミュレーション。これは従来の手法に比べて1000倍の規模で計算できるもので、化学元素89種類をカバーし、セメント化学からCO2貯蔵まで幅広い応用が見込まれる。 また、現代のコンクリートは平均で100年程度しか持たないが、古代ローマのコンクリートは2000年以上持続している。Allegro-FMによるCO2の再利用は、コンクリートの強度と耐久性を高める可能性もある。CO2を含む「炭酸塩層」を生成することで、材料がより頑丈になるという。 研究チームはAIが従来の量子力学的計算を代替できると説明。AIモデルが高精度な相互作用関数を予測し、従来の複雑な数式に代わって、シミュレーションを効率化している。これにより、大型スーパーコンピュータのリソースを他の研究に割り当てることが可能になる。 この研究成果は、『The Journal of Physical Chemistry Letters』に掲載され、表紙記事として選出された。研究は継続され、より複雑な構造や表面のシミュレーションが今後の課題となる。

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