阿里巴巴、2025年6月期決算を発表 AI・消費戦略で成長継続、クイックコマースの投資も進む
阿里巴巴グループは2025年6月期の財務結果を発表した。同四半期(2025年6月30日終了)の売上高は2476億5200万人民元(約345億7100万米ドル)と、前年同期比2%の増加を記録した。核心事業の成長とAI+クラウド戦略の推進が主な成長要因となった。 Eddie WuCEOは、消費市場とAI+クラウドを戦略的柱として、迅速な小売(クイックコマース)への投資が消費者の関心獲得に成功したと強調。特に「淘宝即配(Taobao Instant Commerce)」の導入により、6月上旬の3週間で淘宝アプリの月間アクティブユーザーが前年比25%増加した。また、88VIP会員数は5300万人を超えるなど、高付加価値顧客層の拡大も進んだ。 クラウドインテリジェンスグループ(CIG)は、AI関連製品の売上高が8期連続で3桁成長を達成し、売上高は前年同期比26%増の333億9800万人民元に。AI需要の高まりに伴い、パブリッククラウドの採用が拡大。Omdiaのレポートでは、同社が全スタックのGenAIソリューションと開発者フレンドリーなAIプラットフォームを提供することで、アジア・オセアニア市場でトップクラスの位置を確立していると評価された。 一方、営業利益は349億8800万人民元(前年比3%減)とやや減少。これは「淘宝即配」への投資やユーザー体験改善のための技術・マーケティング支出が増加したため。調整後EBITA(非GAAP)も14%減の388億4400万人民元となった。しかし、非GAAP純利益は406億9100万人民元から335億1000万人民元に減少(18%減)と、投資拡大の影響を受けた。 現金の増減については、営業活動からのキャッシュフローは336億3600万人民元から206億7200万人民元に39%減少。自由キャッシュフローは前年同期の173億7200万人民元の流入から、188億1500万人民元の流出に転じた。これはクラウドインフラ整備とクイックコマースへの投資が主因。 2025年6月30日時点の現金・短期投資残高は5856億6300万人民元(約817億5500万米ドル)を維持。同四半期に8億1500万米ドル相当の普通株を株主還元プログラムで買戻し、残りの買戻し枠は193億ドル(2027年3月まで有効)。 同社は、事業構造を再編し、淘宝・天猫グループ、Ele.me、Fliggyを「中国消費者ビジネスグループ」と統合。新たなセグメント報告体制として、「中国消費者ビジネスグループ」「国際デジタル小売グループ」「クラウドインテリジェンスグループ」「その他」の4部門で財務情報を提示する。 今後もAIと消費市場への継続的投資を進め、長期成長の機会を捉える方針を示している。