Nvidia、Blackwellの好調でAI中心の成長継続へ 中国市場再開の行方注目
Nvidiaは、生成AIブームから2年が経過した今、Wall Streetの高まる期待に応えようとしている。2022年末にOpenAIがChatGPTを発表して以降、同社の売上は3倍以上、利益は4倍に拡大。2024年6月には市場総額が4兆ドルに達し、S&P500の約7.5%を占める巨頭となった。今年の株価は33%上昇し、177.99ドルで終値を付けた。しかし成長ペースは鈍化しており、2023~2024年の5四半期にわたる三桁成長から、今年第1四半期は69%に低下。第2四半期の予想成長率は53%(459億ドル)と、依然として高い水準ながら、ピーク時の勢いは失われつつある。 データセンター向け製品の売上が第1四半期に全売上88%を占め、AIが同社の基幹ビジネスであることが明確に示された。昨年、売上の34%を3社の未公開顧客が占めており、主にMicrosoft、Google、Amazon、Metaといったハイパースケーラー企業が中心である。S&P Globalの研究責任者メラッサ・オットー氏は、「Nvidiaの業績がAIトレードの価格形成の鍵を握っている」と指摘。AI関連投資は、同社を除くテック大手が今年だけで3200億ドルを計画しており、Nvidiaの動向が市場全体を牽引している。 同社の中心的製品であるBlackwellシリーズは、72GPUを統合したシステムを含む高性能AIチップ。5月時点で270億ドルの売上を記録し、データセンター売上の70%を占める。この成長は、OpenAIやAnthropicといった企業が次世代AIモデルの開発を進める上で不可欠な基盤となっている。ただし、GPT-5の訓練はBlackwellではなく前世代のHopperチップで行われた。 Blackwellの供給は需要以上に制限されており、供給能力がネック。2025年後半にはBlackwell Ultraの出荷が開始予定。また、2027年以降の主力となる「Rubin」チップについて、アジアのアナリストが生産問題を指摘したが、Nvidiaは否定している。 中国市場への進出も注目される。H20という中国向けAIチップは、中国当局の規制により輸出許可が必要となり、売上は見込めない状態。Nvidiaは米政府に中国売上額の15%を納付することで、輸出ライセンスを獲得する合意をトランプ大統領と結んだ。このチップの売上は第2四半期に約80億ドルに達する見込みだったが、同社は予想に含めていない。KeyBancのアナリストらは、中国政府が国内チップ(例:华为)の導入を推進していることから、H20の販売は困難とみられ、予想は慎重に抑えられると予測。同社はNvidia株を「買い」推奨しており、保守的な誘導を続けると見ている。 CEOの黄仁勲氏は、世界中で高い知名度を誇り、台湾、中国、ドイツ、英国、サウジなど各国の首脳やビジネスリーダーと会談。米商務長官は「彼は常に大統領に訴えている」と語り、Nvidiaの政治的影響力の大きさを示している。