中国科学院、多模態ニューラルネットワークで天体目標の高精度自動分類を実現
新型多模態神経ネットワークモデルによる天体目標分類:中国科学院の研究 中国科学院云南天文台の封海成博士率いる研究チームは、鄭州大学の李瑞博士とイタリアのフェデリコ二世大学(ナポリ)のNicola R. Napolitano教授と共同で、天体の高精度かつ自動分類を実現する新型多模態神経ネットワークモデルを開発しました。このモデルは、天体の形態特性と多波長エネルギー分布(SED)情報を融合することで、星星、类星体、星系などの天体を正確に識別します。 現代の天文研究において、天体の種類を正確に判定することは、宇宙の構造理解や銀河進化、ダークマターディストリビューションの考察など、重要な科学問題を解く鍵となっています。しかし、光スペクトル観測には多くの観測資源が必要であり、大規模な天体調査での完全カバーが困難なため、多くの天体が光スペクトルデータを持っていません。これに対して、画像観測は比較的短時間で視野全体をカバーし、より暗い天体も検出可能です。また、測光データから得られるSEDは、天体の放射メカニズムと形態情報を提供します。しかし、これらだけでは高赤方偏移類星体と星の区別がつきにくいなど、分類の難しさがありました。 研究チームは欧州南天天文台のKiDS第五回データリリース(1350平方度の天域)に対し、この新しい多模態神経ネットワークを適用し、rバンドBrightnessが23等以上の約2700万個の天体を成功裏に分類しました。従来の方法と比較して、深層学習に基づく多模態分類は高速で自動且つ高精度であるため、中国空間駅スルースキー望遠鏡などの大規模な多波長観測プロジェクトにおける天体データ処理にとって重要な技術的サポートとなります。さらに、チームはモデルの適応範囲を拡大し、より大規模なデータ処理に活用する計画を立てており、天文データ処理の「量」へのシフトから「質」へのシフトを推進します。これにより、高品質な天文データベースの構築と宇宙進化の法則性の解明に貢献することが期待されています。 この研究成果は、「『天体物理学報増補』(The Astrophysical Journal Supplement Series)」に掲載されました。研究は、国家自然科学基金委員会、科技部、云南省、中国有人宇宙飛行計画の支援を受けました。 研究の背景には、タイプの異なる天体がSED、光スペクトル特性、空間形態で異なる表現を持つことが前提にあり、これを基にして20,000個の天体サンプルに対する分類結果の混同行列を作成しています。