Apple、AI革命で「ブラックベリー的危機」に直面か?アナリストが警鐘
アップルが「ブラックベリーの時」を迎える可能性があるとの懸念が、ウォール街で広がっている。20年前、カナダ発のブラックベリーはスマートフォンの王座にあり、QWERTYキーボードと即時メール機能で世界中の人々を魅了した。2008年5月に株価は140ドルを超えるピークを記録したが、アップルのiPhoneが登場し、消費者の移行が急速に進んだことで、その地位は一気に失われた。現在の株価は約3.65ドルと、ピーク時比97%以上も下落。企業価値の崩壊は歴史的なものだ。 ブラックベリーが失敗した理由は、既存の成功モデルを捨てて新しい技術に挑戦する勇気がなかったことにある。株主の利益追求と安定成長を重視する上場企業にとって、劇的な転換はリスクが大きすぎる。結果として、iPhoneへの移行が進んだ後では、すでに遅すぎた。 今、同じ構図がアップルに浮上している。生成AIの急速な進展に対し、アップルは遅れをとっていると指摘されている。ウェブシュ証券のテックアナリスト、ダン・アイヴス氏は、アップルが「ベンチでレモネードを飲んでいる」と表現し、他社のAI革新をただ見守っている状態だと警鐘を鳴らした。マイクロソフト、グーグル、メタ、アマゾン、OpenAIなどがAI開発で先行する中、アップルは自社の24億台以上のiOS端末と15億台以上のiPhoneという圧倒的なプラットフォームを活かさないまま、戦略を先送りしている。 アイヴス氏は、アップルが「ブラックベリーの時」を避けたいなら、三つの戦略的行動を急ぐべきだと提言した。第一に、AIを自社のエコシステムの中心に据えること。第二に、開発者やユーザーに実感できるAI機能を早期に提供すること。第三に、研究開発のスピードと透明性を高め、市場の期待に応える姿勢を見せるべきだ。 アップルは依然として世界最大の企業の一つであり、ユーザーからの支持も厚い。しかし、ファンの期待が高まるほど、戦略の遅れは危険なリスクとなる。ウォール街の警鐘は明確だ――アップルは、AIの「パーティ」から離れてはいけない。