Mistral、企業向けプライバシー重視AI助手「Le Chat Enterprise」を発表 Medium3モデルで高パフォーマンス・低コストを実現
フランスのAIスタートアップ、Mistralは、企業向けにプライバシーを重視したAIアシスタント「Le Chat Enterprise」を発表した。この新プラットフォームは、企業が複数のアプリケーションやデータソースを横断して業務を遂行する際の課題を解決するため、AI機能を統合した安全な環境を提供する。Le Chat Enterpriseは、ChatGPTに似たインターフェースを備えながら、企業のデータ主権を確保する設計が特徴だ。 同プラットフォームの核となるのは、Mistralが開発した中規模モデル「Medium3」。このモデルは、より大きなモデルを上回る性能を発揮しつつ、コストはClaude 3.5 Sonnetの約1/8に抑えられる。ベンチマークではSonnetの90%以上の性能を達成しており、効率性と経済性の両立を実現している。 Le Chat Enterpriseの主な機能には、Google DriveやSharePoint、Gmailなど企業のプライベートデータソースからの安全な内部検索、文書の自動要約と引用、無コードでのタスク自動化用のカスタム接続器とエージェント構築ツールが含まれる。また、公有クラウド、プライベートVPC、オンプレミスの混合環境でのデプロイが可能で、企業が自社のインフラとワークフローに最適化してAIを導入できる。 データのセキュリティ面では、厳格なアクセス制御と完全な監査ログを実装しており、金融、エネルギー、医療など規制が厳しい業界での利用にも対応。MistralのLa Plateforme APIやAmazon SageMakerを介して、既に複数の業界で実証テストが実施されており、業界特化型のAIソリューション構築を支援している。 Le Chat EnterpriseはGoogle Cloud Marketplaceで提供中で、今後Azure AIとAWS Bedrockにも展開予定。ユーザーはchat.mistral.aiやApp Store、Google Playから無料で登録・利用可能。企業がAIを安全に、かつ柔軟に活用するための新しい選択肢として注目されている。