AIがmRNA治療の設計を効率化、ウイルス・がん・遺伝病の新薬開発に貢献
13日前
米テキサス大学オースティン校とサノフィの共同研究により、新たなAIモデル「RiboNN」が開発された。このモデルはmRNAの配列が細胞内でどのくらい効率的にタンパク質を生成するかを予測し、医薬品やワクチンの開発を加速する可能性がある。mRNAは、細胞がタンパク質を作るための指示を含んでいるが、どの配列が最も効率的なタンパク質生産につながるかは従来の試行錯誤に頼らざるを得なかった。RiboNNは、この課題を解消し、治療効果の高いmRNA設計を支援する。 研究は約6年前から開始され、当初は明確な応用が見えていなかったが、好奇心に基づく研究によってこのモデルが生まれた。RiboNNは、従来の手法に比べて約2倍の精度で翻訳効率を予測できる。これは、がんや感染症、遺伝性疾患などの治療法開発に役立つと期待されている。 このAIモデルは、特定の細胞タイプ(例:肝臓や肺、免疫細胞)でタンパク質を効率的に生成するmRNAの設計を可能にし、よりターゲットに沿った治療法の開発を促進する。研究チームは、1万を超える実験データをもとにRiboBaseというデータセットを作成し、これを基にRiboNNを訓練した。このプロジェクトには、テキサス大学の学生も参加し、データの精度確認を行った。 この研究は、Nature Biotechnologyに掲載された2本の論文のうちの1本に記載されている。研究を主導したテキサス大学のカン・チェニク教授は、今後の目標として、特定の細胞でターゲットタンパク質を増やすmRNAの設計を可能にすることを語っている。