NTTがICML 2025でAIと機械学習の精度・セキュリティ・コスト効率に関する新技術を発表
NTTの研究チームが、2025年7月にカナダバンクーバーで開催された国際機械学習学会(ICML)で12本の論文を発表し、AIと機械学習の精度、セキュリティ、コスト効率の向上に貢献した。ICMLは、機械学習技術の発展を目的とした世界最大級の学会で、画像認識やロボティクスなど多様な応用分野が取り上げられている。 NTT ResearchのAI物理グループ(PAIグループ)の研究者たちは、3本の論文を発表し、大規模言語モデル(LLM)の正確性、機械学習の解釈性、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)の短期記憶メカニズムに関する理解を深めた。例えば、「知識編集における表現の破壊」に関する研究では、LLMの誤り修正アルゴリズムが意図せぬ影響を与え、モデルの正確性に悪影響を及ぼす原因を明らかにした。 また、「アーキタイプSAE」という新しい手法は、機械学習の解釈性を高めるための辞書学習フレームワークの不確実性を解消し、信頼性を向上させた。さらに、短期記憶メカニズムの動的特性を明らかにした研究も発表された。 NTT R&Dの研究者たちは8本の論文を共同で発表。その中には、異なる基礎モデル間で再調整が可能になる「ポータブルリワードチューニング」や、差分プライバシーに基づくLLMの精度向上技術「PTA(疑似トークン拡大)」など、実用性に焦点を当てた内容も含まれている。PTAは個人情報が関与する分野、例えば医療や政府、金融でのLLM活用を促進するものとされている。 また、複数モデルを統合する手法に関するポスター発表も行われ、モデルの数を増やすことで性能が向上することを実証した。PAIグループは、生物学的知能と人工知能の類似性を探求し、人間とAIの協働をより信頼できるものにする研究を進めている。 NTTはAI技術を通じて持続可能な社会の実現を目指し、セキュリティやプライバシーの確保、公平性、透明性を重視している。2025年4月に設立されたPAIグループは、AIのメカニズムを解明し、人間とAIの調和ある協働を推進することをミッションとしている。