オペラが実証した「自律型ブラウザ」が生み出すWeb 4.0の始まり

2025年3月、モバイル世界会議（MWC）でOperaは世界初の自律型ブラウザ「Browser Operator」を発表し、Webの次世代である「Web 4.0」の到来を宣言した。4月にはポルトガルのリスボンで行われた歴史的デモで、同ブラウザが現実世界の花屋に直接注文を実行。現地の言語や決済ページを自動で処理し、人間の介入なしに注文完了を達成した。これは単なるブラウザの進化ではなく、AIが自らウェブを操作し、物理世界に影響を与える「エージェンシー」の時代の始まりを示している。 Operaのアーキテクチャの核は、DOM（ドキュメントオブジェクトモデル）レベルの直接アクセス。スクショではなく、ページ構造をリアルタイムで読み取り、高速かつ正確に操作を行う。これにより、PerplexityやOpenAI、Googleが推進するAIブラウジングと比べ、処理速度と精度に圧倒的な差を生んでいる。 しかし、この技術には深刻なプライバシーとセキュリティリスクが伴う。AIがユーザーのアカウントや支払い情報を直接操作できるため、不正アクセスや誤作動による損失のリスクが高まる。特に、AIが意図しない行動を取る「エージェントの自己主張」は、今後のインターネットの新たなセキュリティ盲点となる可能性がある。 この変化は人間とコンピュータの関係を根本から変える。ユーザーは「何をしたいか」を指示するだけで、AIが全プロセスを担う。これにより、情報探索から実務まで、すべてのウェブ体験が自動化される。Operaは、この技術を「Web 4.0」の象徴と位置づけ、今後数年間で主流のウェブインターフェースへと進化させる計画を明らかにしている。 これは単なる技術革新ではなく、私たちがインターネットと接する根本的な形を変える、歴史的な一歩である。