AIがソフトウェア開発プロセスを変革——OpenAI幹部が開発サイクルの急速な進化を語る

OpenAIのアジア太平洋地区市場戦略責任者、アンディ・ブラウン氏は、AIが企業のソフトウェア開発プロセスそのものを変革していると指摘した。2025年4月の「テックウィークシンガポール」での対談で、彼は企業が開発サイクルを再考し、「長期間のスプリント」から「常に更新される製品リリースサイクル」へと移行していると述べた。従来の開発は計画的で長期的なスプリントに基づいていたが、現在はAIの導入により、より迅速で継続的なリリースが可能になっている。 ブラウン氏は、OpenAI自身が開発したAIエージェント作成ツール「Agent Builder」を例に挙げ、約6週間で開発され、その約80％のコードがAIモデルによって生成されたと説明した。このスピードの背景には、AIが開発の各段階を効率化していることがあり、開発者自身が「根本的な働き方」を再考する必要があると強調した。 彼は、過去2年間でAIモデルの能力が劇的に進化し、以前は1～2年の開発ギャップが、今や1～2か月に短縮されていると分析。特にOpenAIやグーグル、Anthropicといった企業が、短い期間で多数のアップデートを次々とリリースするようになっている。たとえば、OpenAIはGPT-4oの発表後、リアルタイム音声対応やチャット内画像生成、アプリストア風のマーケットプレイスを数か月で展開。グーグルはI/O 2025で20以上の新機能を発表し、「これまでで最も速いリリースペース」だと公表。Anthropicも4か月でモデル「Claude Sonnet 4.5」をリリースするなど、業界全体で開発スピードが飛躍的に加速している。 ブラウン氏は、企業がAIツールを積極的に実験し、開発のあり方そのものを見直すことが不可欠だと呼びかけている。AIは単なるツールではなく、ソフトウェア開発の本質を再定義する変化の中心にいる。