Netflix、Spotify元幹部を採用し広告事業の強化を図る
Netflixが広告事業の成長を加速させるため、Spotifyからエド・コッチャマン氏を幹部として引き抜いた。同氏は2023年からSpotifyで英国および北欧地域の広告売上を統括する役職に就き、Snap、Meta、英国放送局チャンネル4などでも上級広告営業担当を務めてきた実績を持つ。Netflixは、広告事業を「幼児期」から「思春期」へと進化させたいと明言しており、コッチャマン氏の採用はその重要な一歩と位置づけられている。彼は2024年後半にNetflixに正式就任し、EMEA広告部門のVPであるダミエン・ベルネに報告する。前任のワーレン・ディアス氏は5月に退任しており、2年間の在任を経て後任が決まった。 Netflixは2024年第二四半期の決算発表で、2025年までに広告収入を約2倍に拡大する目標を示した。前年比で既に広告収入が倍増しており、自社開発の広告技術基盤(adtech stack)の全市場展開と、ライブイベント(コメディ特別番組、プロレス、ボクシングなど)への広告需要の高まりが成長の要因とされている。同社の共同CEOグレッグ・ピーターズ氏は、インタラクティブ広告や生成AIの活用も新たな収益拡大の鍵になると語った。 広告収入の詳細は財務報告に含まれていないが、広告付きプランの月間アクティブユーザーは6月時点で9400万人に達している。英国市場では、広告主が注目する16~34歳層の視聴シェアでNetflixが最も高く、通信規制機関Ofcomの調査でも2024年における英国で最も人気の動画配信サービスとされている。一方、Spotifyの広告部門は、広告売上目標の達成に課題を抱えており、広告営業責任者であるリー・ブラウン氏もDoorDashに移籍。同社は「リーダーシップの刷新が適切なタイミング」として変更を発表した。Netflixの広告戦略の強化は、競争激化するストリーミング市場における収益多様化の鍵を握っている。