VRの衰退、スマートグラスの台頭が示すテクノロジーの転換点
4日前
VRの今、深刻な停滞期に突入している。Metaの2025年Q1の実績によると、Reality Labsの売上は前年同期の4億4000万ドルから4億1200万ドルへと減少。その主な原因は、Questシリーズの販売不振だ。一方で、同社のスマートグラス「Ray-Ban Meta AI glasses」の売上は年間3倍に急増し、この好調な伸びが売上減少を部分的に相殺している。この逆転現象は単なる数字の変化ではなく、技術のトレンドがVRからスマートグラスへとシフトしている証拠だ。 VRヘッドセットは、依然として高性能だが、装着感の悪さが大きな課題である。重さや汗をかきやすい皮膚への負担、長時間使用による目の疲れなど、日常的に使いやすいとは言い難い。一方、Ray-Banスマートグラスは軽量で、見た目も普通の眼鏡に近く、Bluetooth音声、音声アシスタント、AI機能といった基本的なスマート機能をストレスなく提供。長時間の着用も違和感が少なく、実用性の高さが際立つ。 この違いは、技術の進化の方向性を示している。VRは「没入型」の体験を追求するが、そのために装着のハードルが高くなる。一方、スマートグラスは「軽量・日常使い可能」を重視し、少しだけの機能でも自然に生活に溶け込む。Appleのティム・クックやMetaのマーク・ザッカーバーグの発言からも、XR/ARの未来はスマートグラスに注がれていることが読み取れる。 結論として、VRは技術的にも魅力的だが、現実的な普及には課題が残る。一方、スマートグラスは現時点でも実用性を備え、日々の生活に自然に組み込める可能性を秘めている。VRの未来はまだ閉ざされていないが、実現までの道のりは長くなりそうだ。