ロボマート、3ドル固定料金の自律走行配送ロボット「RM5」を発表、ドアダッシュ・ユーバーエイツに挑戦
ロボマートが自律走行配送ロボット「RM5」を発表し、ドアダッシュやウーバーイーツと競合する低コスト配送サービスの展開を開始する。同社はロサンゼルスを拠点とするスタートアップで、2024年5月に発表したRM5はレベル4の自律走行技術を搭載。最大500ポンド(約227kg)を運搬可能で、10個の独立したロックヤードを備え、複数の注文を同時に処理できるバッチ配送が可能だ。 ロボマートの共同創業者兼CEOであるアリ・アハメド氏は、TechCrunchに対し、このロボットを基軸に「自律型のオンデマンド配送マーケットプレイス」を構築する構想を明らかにした。小売店が同社のアプリに自社店舗を出店し、顧客が注文する仕組みは、ウーバーイーツやドアダッシュと類似しているが、料金構造が根本的に異なる。すべての注文に対して3ドル(約450円)の定額配送料金を設定。他のアプリが追加手数料やチップを課すのに対し、ロボマートは「追加料金なし」を強調。アハメド氏は「顧客が気づかない間に追加料金が積み重なっている。我々のモデルは、価格透明性とコスト効率の両面で優位」と述べた。 この取り組みは、2017年の設立当初から目指していた「オンデマンド配送の自動化」の自然な進化である。同社は2020年から「ロボットストア」の実証実験を開始。薬品やアイスクリームなどを運ぶ移動型店舗として、顧客の要望に応じて直接訪問するモデルを試行。アハメド氏は、以前に設立した英国の配達プラットフォーム「ディスパッチメッセンジャー」で人件費の高騰により利益を上げられなかった経験から、自動化によるコスト削減の必要性を実感していた。 RM5の導入により、配送コストは最大70%削減可能。人間ドライバー1人あたりの時給18ドル(約2,700円)を考慮すると、ロボットによる配送は1回あたり9~10ドルのコストで済むという。同社は資金調達額が500万ドル未満(約400万ドル)と少ないながら、5世代にわたるロボット開発と実用化を達成。ハスルファンド、SOSV、ワサビベンチャーズらが支援している。 今後はテキサス州オースティンを初の展開市場とし、年内に小売パートナーの受入を開始。既存の配送市場に参入する中で、ロボマートは「自律性+定額料金」という独自の価値提案で、顧客と小売店の両方にとって魅力的な選択肢として注目される可能性がある。