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18,000種の植物花粉をデジタル化、AIで識別が革新へ—PollenGEOプロジェクトが公開

19日前

アメリカ国立自然史博物館とスミソニアン熱帯研究所(STRI)の研究チームが、熱帯地域の1万8000種以上の植物から採取された花粉のデジタル画像を収集・公開するプロジェクト「PollenGEO」を進めている。このプロジェクトは、科学誌『PLANTS, PEOPLE, PLANET』に論文として発表された。研究チームは、花粉の形状や特徴を高解像度で撮影し、合計4000万枚以上の画像をオンラインで公開。これにより、AIによる花粉の自動識別が可能になる。 従来、花粉の識別は専門家が顕微鏡で一つひとつ調べ、図鑑と照合するため、数時間から数日を要する作業だった。特に熱帯地域では植物種の多様性が高く、未記載種も多数存在し、識別は極めて困難だった。また、化石花粉の分析においては、古代の植物が絶滅しているため、参照資料の不足が大きな課題だった。 PollenGEOは、これらの課題を解決するため、2008年にSTRIに寄贈されたグラハム花粉コレクションをはじめ、ジョアン・ノウィッケ、ダーヴィッド・ルビック、パウル・コリンヴァックスらのコレクション、そしてメキシコのシアン・カアン地域の650種の花粉を含むデータベースを統合。約100人のボランティアが、2万3000枚のスライドに添付された情報カードをデジタル化し、データベースに登録した。 この膨大なデータセットは、UIUCのサランギ・パンヤセナ准教授らのAI研究チームによって活用され、花粉の自動識別モデルの学習に役立てられている。AIの精度が向上すれば、アレルギー診断、犯罪現場の衣類由来の植物特定、古代森林の気候変動への反応解析、炭化水素鉱床の年代測定など、幅広い分野での応用が期待される。 PollenGEOはすべてのデータを無料で公開しており、科学者や研究機関が世界中からアクセス可能になる。この取り組みは、花粉分析を個人の顕微鏡作業から、デジタルで共有可能な国際的プロセスへと変革する。また、アンドレス・ディアス氏はスペイン語によるウェビナーで、4000万枚の画像化プロセスを解説した。

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