Meta初の本格スマートグラス、神機能の裏に隠れた重大な課題
メタが開発中の初の本格的スマートグラス「Hypernova」(仮名)に、大きな課題が浮上している。同社はこれまでに発売したオークリー提携のRay-Banスマートグラスで一定の成功を収めており、ユーザーの関心は高まっている。今回、メタが開発中のHypernovaは、レンズ内に表示装置を搭載する本格的なスマートグラスとして注目されている。しかし、その実現に向けた鍵となるのは、予想外の周辺機器――「ニューラルウエストバンド」だ。 このウエストバンドは、腕の筋電信号を読み取り、指や手の動きを認識してグラスの操作を行う仕組み。技術的には革新的で、未来感あふれるアイデアだが、実用面での課題が大きい。ユーザーが高額(推定800ドル)のグラスを購入する際、別途ウェアラブル機器を装着する必要があるのは、大きなハードルとなる。充電が必要なうえ、腕に装着することへの抵抗感や、見た目への不満も予想される。 この点で、過去のGoogle Glassの失敗と重なる。2013年に登場した同製品は、目立つカメラと表示部により「ガラスホール」と呼ばれる社会的批判を招き、個人のプライバシー懸念と「ダサい」外観が市場拡大の阻害要因となった。メタのRay-Banスマートグラスが成功したのは、ファッション性の高いサングラス風デザインだったことが大きい。しかしHypernovaが「ニューラルウエストバンド」に依存する構造なら、その魅力が損なわれる可能性がある。 また、スマートグラスの操作に別デバイスが必要なのは、ユーザー体験の面で本末転倒になる。特に、Appleをはじめとする大手がスマートグラス市場に参入を検討する中、メタが「すべてを1つにまとめる」設計を追求するかどうかが、今後の成功の鍵となる。技術的な可能性は高いが、ユーザーの「着用しやすさ」と「見た目の自然さ」が、最終的な市場受容を左右する。過去の教訓を踏まえ、メタの挑戦は「未来の技術」ではなく、「人の暮らしに自然に溶け込む」ことにある。