Amazon、AI推進でMGM Studiosの人員削減—14,000人削減の一部としてドラマ部門も大幅人員調整

アマゾンがAI戦略の強化を背景に、全社で1万4000人の削減を発表した。このリストラの影響を受け、アマゾンMGMスタジオ（Amazon MGM Studios）も人員削減の対象となった。同スタジオは、プライム・ビデオのオリジナル作品を生産する重要な部門であり、「ロード・オブ・ザ・リングズ：リングの権力」や「リーチャー」などの人気シリーズを手掛けてきた。 リストラでは、シリーズキャスティング責任者だったドナ・ロステイン氏やドラマシリーズ担当のメギー・チョイ氏、クリエイティブ担当のナタン・キタダ氏ら主要人物が含まれたが、エンタメ部門での具体的な削減人数は明らかにされていない。同スタジオは今年、ヴァーノン・サンダース氏やジェン・サルク氏ら幹部の退任を受け、Netflix出身のピーター・フリードランダー氏がTV部門のトップに就任するなど、経営陣の刷新が進んでいた。 アマゾンは、AI技術をエンタメ分野にも積極的に導入している。マイク・ホプキンス氏が率いる同スタジオでは、AIを活用した制作支援ツールの開発が進み、プライム・ビデオの体験向上を目指している。今年初めには、プライム・ビデオ責任者だったアルバート・チェン氏がAI開発担当に異動。彼は映像制作チーム向けの新AIツールの開発を担当すると発表された。 さらに6月には、アマゾンのAI関連ベンチャーキャピタル「アレクサ・ファンド」が、AIで番組を生成できるストリーミングプラットフォーム「Showrunner」を開発するスタートアップ、ファブル・スタジオに投資。ユーザーが既存のIPを活用して自分だけの番組を作成できる仕組みを構築している。 アマゾンは、かつて「シティゼル」や「リングの権力」など大規模なオリジナル制作に多額の投資をしていたが、その支出を見直し、効率化を図る方針を取っている。前回のエンタメ部門でのリストラは2024年1月に実施され、数百人の削減が行われた。今回の動きは、AIによる業務効率化を実現するための構造改革の一環とみられる。