OpenAIがGPT-5を搭載したCodexを進化させ、コード生成から自律的な開発エンジニアへと進化させた。
OpenAIは、AIによるソフトウェア開発を加速する新たな進化として、GPT-5を基盤にした専用コード生成モデル「GPT-5-Codex」を発表しました。このモデルは、従来のAIコーディングツールとは異なり、タスクの複雑さに応じて「思考時間」を動的に調整できる点が特徴です。数秒から最大7時間まで、必要に応じて長時間のプロセスを実行可能で、複雑な開発課題を一貫して完了する能力を備えています。この「動的思考(dynamic thinking)」機能により、GPT-5-Codexは従来のモデルよりも、実際のソフトウェアエンジニアリングに近い自律的な作業が可能になり、SWE-bench Verifiedや大規模リポジトリ向けのコードリファクタリングベンチマークで顕著な性能向上を示しています。 GPT-5-Codexは、ChatGPT Plus、Pro、Business、Edu、Enterpriseユーザーを対象に、ターミナル、IDE、GitHub、ChatGPTのWebインターフェースを通じて段階的に展開されています。今後、APIユーザーにも提供される予定です。このリリースは、近年急激に拡大したAIコーディング市場における競争激化に対応する戦略の一環です。Claude CodeやAnysphereのCursor、MicrosoftのGitHub Copilotといった主要製品との差別化を図るため、OpenAIはCodexの機能をさらに強化しています。特にCursorは2025年初頭に年間収益(ARR)5億ドルを突破し、同業界の注目度を高めています。 さらに、GPT-5-Codexはコードレビューの訓練も受け、経験豊富なソフトウェアエンジニアによる評価でも高い評価を得ました。評価では、誤ったコメントが減少し、実際の開発に大きな影響を与える「高インパクトコメント」が増加したと報告されています。OpenAIのCodexプロダクトリード、アレクサンダー・エムビリコス氏は、この性能向上の鍵は「ルーター(router)を内蔵しない動的思考アーキテクチャ」にあると説明。従来のルーターはタスク開始時点で計算リソースを割り当てるが、GPT-5-Codexは途中で「この問題はさらに時間をかける必要がある」と判断し、リアルタイムでアプローチを変えることができる点が大きな利点です。 この発表は、AnthropicのClaudeが「能力低下」を指摘された直後というタイミングも注目されます。OpenAIは、AI開発の「実用性」と「自律性」を重視した戦略を貫き、Codexを真の「AIエンジニア」としての役割に進化させています。今後、開発者との連携がさらに深まり、プログラミングの効率化と品質向上に貢献することが期待されています。