TikTok、広告主にAI最適化ツール「GMV Max」の強制導入を発表

TikTokは9月1日から、広告主が自社のTikTok Shopで商品を宣伝する際、AI駆動の広告最適化ツール「GMV Max」の使用を義務化すると発表した。この変更により、広告主は自らの戦略を決定するのではなく、予算や目標ROIを設定した上で、AIアルゴリズムに広告の配信方法（既存広告の強化や新規広告の作成）を丸ごと任せることになる。GMV Maxは2024年に導入され、売り上げ最大化を目的としている。 この強制的なAI移行に、広告業界では反発の声が相次いでいる。特に大手ブランドの広告担当者は、戦略的判断の自主性を失うことに懸念を示している。広告の効果を外部で測定できず、地理、ターゲット層、インフルエンサーデータといった重要なインサイトが不足していると指摘される。また、広告を見ていないユーザーの購入もGMV Maxの成果としてカウントされるため、成果の信頼性に疑問が呈されている。 一方で、小規模なShop販売者にとっては、GMV Maxは成果保証機能「ROI Protection」や時間の節約といったメリットがあり、好評だ。TikTokは広告の結果を「ブラックボックス」化するリスクを認識しており、第一者・第三者の測定ツールやパートナー企業との連携も提供しているが、一部の広告主は改善策が不十分だと感じている。 この動きは、GoogleやMetaも進めるAI自動広告のトレンドを踏襲しているが、TikTokは「選択肢ではなく義務」としており、スピード感が際立つ。大手ブランドが戦略的なコントロールを求める一方、小規模事業者へのアプローチは成功している。しかし、ブランド内での部門横断的な調整の難しさ、偽物商品の問題、ライブ販売のROI不安など、大手ブランドの本格的な参入を阻む課題は依然として多い。TikTok Shopは、AIへの依存を強める一方で、大手ブランドの信頼獲得という課題に直面している。