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Embroideryでプログラミングする次世代ウェアラブル:機械的特性を自在に設計

5日前

タリン大学の研究チームが、機械式刺しゅうを用いて生体に似た伸び縮み特性を持つテキスタイルを開発した。この技術は、肌の張力線を模倣する「繊維スプリング」のモザイク構造を、一連のジグザグ刺しゅうで織り込むことで、布地の伸び方を精密に制御する。研究では、不変のポリエステル糸を弾性素材にジグザグに刺し、その幅で伸縮限界を調整。直線的な縫い目は伸びず、ジグザグ部分は糸がまっすぐになるまで伸ばせる。複数のスプリングが三角形の格子状に配置され、新しく刺された糸が前の糸を巻き込み、解けることなく強固な結合を形成する。 この「繊維スプリングモザイク」は、1つの三角形が伸びるためには辺のいずれかが伸びる必要があるという幾何学的性質を活かし、方向ごとの伸縮性を個別に設定可能。研究チームは、通常のラスターデータ(RGB)の3色チャンネルを用いて、デザインソフト上で「力学を描く」仕組みを開発。アートワークをそのままステッチパターンに変換でき、デザイナーは視覚的なプロセスで機械的特性を設計できる。 実証として、1枚の布地から作られたプロトタイプの靴を制作。1000以上のユニットセル、約2万本のステッチを用い、最小限の縫い目で完成。履いた際にはかかと部がフィットし、つま先のねじれを防ぎつつ、自然な屈曲を保つ。足裏への力が加わると、 stitchedパターンに沿って即座に歩行姿勢を調整する「物理的な神経ネットワーク」のような挙動を示した。 この技術は、従来の皮革や合成素材が持つ均一な剛性とは異なり、生体の皮膚のように「異方性の伸縮性」を再現。アーティフィシャルフィンガーやロボットの「第二の皮」にも応用可能。また、スポーツウェア、補助具、工業用素材など、伸縮性のグレーディングが求められる分野への拡張が期待される。 研究の責任者であるインドレク・ムスト氏は、「プログラムが目に見えるステッチとして存在し、触れるものとして実現された。科学と美しさが融合した、自然な形でのスマートテキスタイルの未来」と語る。機械式刺しゅうは、既存の産業機器と材料で実現可能。これにより、大量カスタマイズが工業レベルで実現可能となり、快適性・適応性・性能を兼ね備えた次世代ウェアラブルの実現に向けた一歩となった。

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