Google、アジア太平洋地域向けに1000万ドルのAI社会貢献プログラムを発表——農業・医療・エネルギー分野に注力
グーグルは、アジア太平洋地域(APAC)における社会課題解決に向けたAI活用を支援する「APAC AI for Society」 Initiativeを発表した。同プログラムは、グーグル・オーガナイゼーション(Google.org)が1000万ドルを投じ、地域の社会的影響をもたらす組織が革新的なAIソリューションを開発できるよう支援するものだ。本 initiativeは、農業、医療、エネルギーの3分野に焦点を当て、持続可能な社会の実現に貢献することを目指す。 農業分野では、アジア太平洋地域に約30%の労働者が従事する重要な産業だが、気候変動により2050年までに一部地域で作物生産性が最大50%低下する可能性がある。AIは、地形解析や作物のモニタリングを通じて、植え付け・灌漑・施肥の最適タイミングを判断する支援を可能にし、害虫や病害の早期発見にも役立つ。これにより、生産性の向上と気候変動への適応力強化が期待される。 医療分野では、慢性疾患の高発症や医療従事者の不足、特に地方における医療アクセスの格差が深刻な課題である。AIは疾患の早期発見を促進し、診断の迅速化と患者の治療結果改善に貢献する。また、診療の効率化や医療従事者の負担軽減にも寄与し、遠隔地や支援が不足する地域に質の高い医療サービスを届ける可能性を高める。 エネルギー分野では、急速な経済成長に伴うエネルギー需要の増加と排出量の抑制が課題となる。AIは都市部の信号制御の最適化により、交通渋滞と排出量を削減し、燃料効率の良いルート設計を支援する。また、極端な高温への対応にも活用できる。 グーグルは、AIが社会的課題の解決に貢献できると確信しており、今後、支援対象の団体の公表や、実践的な導入事例の共有を進めていく。この取り組みを通じて、持続可能で健康で強靭な地域社会の実現を目指す。