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Anthropic、学びを促す「学習モード」を全ユーザーに提供——AI教育市場で競争激化

2日前

AI教育市場の競争が激化する中、旧金山に拠点を置くAIスタートアップ・Anthropicは、チャットボット「Claude」に新たな「学習モード」を全ユーザー向けに導入した。この機能は、AIが「即答型の情報提供者」から「思考を促す学習パートナー」へと進化することを目指しており、特に教育現場での活用を念頭に置いている。学習モードの核となるのは、蘇格拉底式の問いかけによる探求型学習。直接的な答えを提示するのではなく、ユーザーが自ら考え、理解を深めるプロセスを支援する。 このモードは今年4月に「Claude for Education」として限定提供されていたが、今回、一般ユーザー向けのClaude.aiおよびプログラミング支援ツール「Claude Code」でも利用可能になった。Claude Codeでは「解説モード」と「学習モード」の2種類が用意されている。「解説モード」では、コード選択の背景や利点・欠点を詳細に説明し、理解を促す。「学習モード」では、タスク途中で一時停止し、ユーザーに「#TODO」部分を自ら実装するよう促すことで、協働と思考の機会を創出する。 Anthropicは、初心者開発者がAI生成コードをそのまま使ってしまうことで、その仕組みやバグの原因が理解できず、長期的にスキルが身につかないという課題に応えるため、この設計を採用したと説明している。短期的な生産性の低下を許容することで、長期的な技術習得とキャリア成長を実現するという戦略だ。 この機能の実現は、モデルの微調整ではなく、システムプロンプトの変更によって達成されており、ユーザーのフィードバックに応じて迅速に改善が可能。今後は、複雑な概念の可視化、対話間での目標設定や進捗管理、個人のレベルに応じたカスタマイズされた学習支援の開発も計画している。 世界の教育テクノロジー市場は3400億ドル規模に達し、OpenAIやGoogleも学習モードの提供を進める。GoogleはGeminiにガイド付き学習機能を追加し、3年間で10億ドルを教育分野に投資すると表明。多くの大学、包括して東北大学やロンドン経済学院がAnthropicと提携、Claudeの教育利用を開始している。 Anthropicは「AIは人間の能力を補完するもの。学びの本質を損なわず、批判的思考を育む存在であるべき」と強調。今後も学習体験の質を高めるための技術的・教育的工夫を続けていく。

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