「AIでコードを生み出す「Vibe Coding」、創造の民主化が始まる」
「Vibe Coding(バイブコーディング)」という概念が注目を集めている。これは、OpenAIの共同創業者であるアンドレ・カーパティ氏が提唱した、AIによるコード生成の新たなアプローチだ。彼は、AIは人間のような完璧さを備えていないと指摘し、「AIをリードで歩ませる」と呼びかけた。LLMは人間の知能を模倣するが、誤った情報を生成したり、論理的なミスを犯すこともある。こうした点を踏まえ、開発者はAIを過信せず、慎重に管理する必要があると強調している。 カーパティ氏は「Vibe Coding」を「ソフトウェアのパンクロック」と表現し、技術のハードルを下げ、創造力を解放する新たな潮流と位置づけた。これまでソフトウェア開発は高度な技術や論理的思考が求められていたが、AIは「3つのコード」ともいえる自然言語の指示で、そのプロセスを簡略化している。デザイナー、作家、科学者など、プログラミングに詳しくない人も、自分の「Vibe(雰囲気)」をAIに伝えることで、独自の作品を生み出せるようになった。 しかし、カーパティ氏はAIをただのツールと見なし、人間の判断や直感が不可欠だと主張している。AIは人間の意図を「翻訳」するが、その「視点」は人間が与えるもの。したがって、AIが生成した結果を評価し、方向性を調整する能力が重要だ。この点で、AIは「ツール」であり、「芸術家」ではない。AIが生み出す結果は、人間の直感や品味に依存する。 Vibe Codingは、技術の進化に伴う創造性の民主化を象徴する。カーパティ氏は、AIに「Vibe」を伝えることで、人間の創造力がより自由に発揮できると語る。この流れは、技術の「体験」や「哲学」に焦点を当て、従来の性能指標にとらわれない新たな価値観をもたらしている。 この概念を象徴する人物として、音楽プロデューサーのリック・ルビン氏が注目されている。彼の「Vibe Coding」のMeme画像が広く拡散され、その思想が広く知られるきっかけとなった。ルビン氏は、AIの進化を通じて、技術の境界を越えた創造の可能性を示した。そして、AIは「工具」であり、人間の「Vibe」が創造の核だと強調している。