米国がAI競争で中国に勝つには研究投資を続けるべき——マーカス・カーバンが強調
米国のAI競争で中国に勝つには、研究開発への継続的投資が不可欠だとマーク・キューバン氏が強調した。キューバン氏はビジネスインサイダーに対し、「米国が自国の博士号保持者や科学者、専門家たちを国内に留め、その知的財産(IP)を活かすことで、アメリカのAIモデルが世界をリードできる」と述べた。彼は、国内で生み出される研究の質と深さが、チャットGPTやジェミニといった先端AIモデルの差別化や進化を支えると指摘。その研究成果は、AIモデルにライセンスとして提供され、訓練データに組み込まれることで、モデルの価値を高めると説明した。 キューバン氏は、研究の価値は単なる成果ではなく、AIモデルの進化に直接貢献するという点にあり、米国がAI分野でリーダーシップを維持する鍵だと強調。特に、中国企業が低コストで高性能なAIモデルを発表したことを受け、「中国のDeepSeekの成功は、米国産業界に警鐘を鳴らすべきだ」と述べ、競争意識の高揚を呼びかけた。 一方、ドナルド・トランプ大統領の政権は、1月以降、国立衛生研究所(NIH)など大学や研究機関への研究助成金を削減し、科学者たちの流出(ブレインドレイン)の懸念が広がっている。4月にビジネスインサイダーが取材した研究者たちは、助成金の削減がイノベーションを阻害し、米国の研究リーダーシップを脅かすと警告。NIH助成金を失ったピーター・ルリ氏は、「米国の医学研究の世界的地位が危うくなる。その代償は必ず払わされる」と語った。 トランプ政権はAI競争を重視しており、先月28ページにわたる「AIアクションプラン」を発表。前政権のジョー・バイデン政権と比べ、規制は緩和をめざす方針を示した。しかし、研究資金の削減と競争意識の高まりが同時に進む中、米国がAI分野で持続可能な優位性を保てるかが問われている。