SOPHiA GENETICSとアストラゼネカ、AIで乳がん治療の個別化を加速する共同研究を拡大

SOPHiA GENETICSとアストラゼネカは、人工知能（AI）を活用した乳がん治療の成果向上を目指す新たな包括的協働関係を発表した。この複数年契約に基づく提携では、SOPHiA GENETICSが開発した「マルチモーダルAIファクトリー」を用いて、特定の乳がんタイプに対する治療薬の有効性や実世界での効果を評価する実世界証拠（RWE）の生成が進められる。また、患者一人ひとりに最適な治療結果を導くためのカスタムAI予測モデルの開発も検討される。 AIファクトリーは、ゲノム情報、画像データ、臨床データなど多様な医療データを統合し、複雑な健康データ環境を安全かつコンプライアンスに配慮した形で分析できる。アストラゼネカは、自社のデータと協働で得られる新たなデータを活用し、がんの生物学的メカニズムやバイオマーカーの理解を深め、個別化医療の実現に貢献する。特に、欧州と北米での実世界データの共同分析を通じて、治療効果の決定要因を解明し、臨床意思決定の質を高めることが狙いだ。 SOPHiA GENETICSのロス・ムーケン社長は、「セキュアでコンプライアンス対応が整ったスケーラブルなAI活用の需要が高まっている。この提携は、信頼性のあるフェデレーテッド解析により、より良い患者の結果を実現するという私たちの使命を実証するものだ」と強調。アストラゼネカのジョルジ・レイス・フィルホ首席AI・データ科学者も、「前線のAI技術をがん臨床開発に活用する戦略の中心にあり、マルチモーダルデータによるモデルの最適化が、患者に適した治療の開発を加速している」と語った。 この協働は、SOPHiA GENETICSがデータ駆動型医療のグローバルなリーダーとしての地位をさらに強化するものであり、AIとフェデレーテッドデータ分析を活用した健康分野の持続可能な進展を示している。