Back to Headlines

LLMの限界が露呈、AI界で「AGIへの別ルート」が注目される

2日前

人工知能(AI)界隈で「AIドゥーマー」と呼ばれる懐疑派の声が再び注目を集めている。OpenAIが発表したGPT-5が期待に応えず、技術的進歩の限界が浮き彫りになったことで、長年「LLM(大規模言語モデル)だけではAGI(汎用人工知能)には到達しない」と主張してきた研究者たちが「言った通りだ」と声を上げている。代表的な人物は、AI研究の先駆者であり、著書『AIの限界』で知られるゲイリー・マーカス氏だ。彼はGPT-5発表後にブログで「純粋なスケーリング(データと計算力の増加)ではAGIには到達できない。『2027年までにAGI』という発言はマーケティングに過ぎない」と断言した。 現在、OpenAIは600億ドルの資金調達を達成し、5000億ドルを超える評価額を狙うなど、AIブームの象徴的存在となっている。しかし、同社は依然として利益を上げておらず、AGI開発という使命と実際の業績の乖離が懸念されている。Google、Meta、xAI、Anthropicなども巨額の投資を続け、LLMの拡大競争に参加しているが、その一方で、データの質や著作権問題(例:Anthropicが違法な書籍データを収集)といったリスクも浮上している。 Appleの研究チームが2024年6月に発表した論文「思考の錯覚」は、LLMが複雑な課題に直面すると即座に妥協するなど、本質的な論理的推論能力に欠けることを指摘。研究者たちは、LLMが「パターン認識」にすぎず、真の知能に至る道ではないと警告している。MITのジャヤ・ライト・フォレスト教授も1971年に「モデルは人間の意思決定の基盤」と述べており、世界モデル(world models)の重要性を提唱した。 現在、フェイ・フェイ・リー(スタンフォード大学)やヤン・レクン(Meta首席AI科学者)らは、LLMの代替として「世界モデル」に注目している。これは、現実の物理世界をシミュレートし、AIが環境を理解・予測できるようにするアプローチ。DeepMindが開発した「Genie 3」は、火山地形や暗い海底を再現可能で、実世界への応用が期待されている。また、神経科学モデルやマルチエージェントモデル、体現型AI(ロボットに応用)も研究が進んでいる。 マーカス氏は、LLMは「人間より優れている部分もあるが、アリにも劣る」と指摘。真のAGIの実現には、世界モデルへのシフトが不可欠だと訴えている。AIブームの先にあるのは、単なるスケーリングではなく、本質的な知能の再構築である。

Related Links

LLMの限界が露呈、AI界で「AGIへの別ルート」が注目される | ヘッドライン | HyperAI超神経