中国科学院、酸・甘・苦・塩味を識別可能な智能味覚システム開発に成功
中国科学院の研究チームが智能化された味覚システムの開発で進展 近日、中国科学院国家纳米科学センターの鄢勇(えんゆう)チームが、新たな智能化された味覚システムの開発で大きな進展を遂げました。このシステムは、液体環境下で作動できる機能集成型のナノイオンデバイスを利用しています。 現行の「脳型計算」技術は、ヒューマンインターフェースの改良や様々なセンシングシステムの高度化を目的としており、特に化学(生物)物質の交換を必要とする味覚感応が注目されています。視覚や触覚とは異なり、味覚の感応には液体環境での作動が不可欠で、そのプロセスはより複雑です。このため、仿生(まねること)味覚システムの実現は大きな課題でしたが、鄢勇チームはその挑戦に成功しました。 彼らが開発したナノイオンデバイスは、層状に積み重ねられた酸化グラファイト膜を使用しています。この膜の特性により、イオンの移動速度が大幅に遅延し、デバイスがイオンセンサとメモリスト機能を持つようになりました。このデバイスのセンシング機能を基に、さまざまな味型の化学サンプルライブラリーが構築されました。さらに、デバイスのニューロモーフィック(神経形態)計算機能を活用し、リザーバー計算ネットワークを構築。これにより、酸、苦、塩、甘などの基本4味型およびコーヒー、コーラなどの複雑な味を感じ取ることができます。 本研究成果は、《アメリカ国家科学院院報》(PNAS)に掲載され、《ネイチャー》(Nature)でも特集記事となっています。研究は、中国の国際的な科学研究基金や山東省自然科学基金の支援を受けました。詳細については、それぞれの論文リンクから確認できます。 この技術は、将来の味覚システムの発展において液体環境下での感応と計算の統合を可能にすることで、環境モニタリング、食品安全性、健康管理、疾患診断などにおける応用が期待されます。