Elon Muskを名乗る詐欺が急増、AI生成画像で高齢者らから数百万円をだまし取る
エロン・マスクを名乗る詐欺が、依然として多くの人々から巨額の資金を奪っている。米国連邦取引委員会(FTC)に提出された複数の通報から、マスクの名前やAI生成画像、偽のYouTubeライブ配信などを用いた詐欺が横行していることが明らかになった。特に、スペースXやテスラの重大イベント中に、マスク本人が登場するかのような偽動画を流し、QRコードを通じて暗号資産を送金させ、その金額を「倍返し」するという誘いをかける手法が頻発している。あるフロリダの高齢男性は、こうしたライブ配信を見て22万5000ドルを失ったと訴えている。 さらに深刻なのは、高齢者や認知機能に問題がある人々を標的にした「ロマンス詐欺」の存在だ。ある女性は、マスク本人と交際していると思い込み、2022年から2025年までに合計6万5300ドルを送金。彼女は「マスクは億万長者だから返せるはず」と訴え、歯科手術の費用を回復するために政府の支援を必死に求めている。また、マスクの母親・メイ・マスクを装った人物が登場し、投資を勧めるケースも報告されている。ある通報では、マスク本人の画像が「空軍1号」でトランプと並んでいると主張し、その信憑性を強調している。 AI技術の進化により、マスクの声や顔をリアルに再現した動画が作られ、信頼を裏切る形で詐欺が行われている。ある被害者は、マスク本人のAI動画をYouTubeで見た後、ドージコインを送金したが、一切返金されなかったと明かしている。また、仮想通貨取引所の名前を騙ったサイトや、偽の「EVWビジネススクール」など、組織的なネットワークで被害を拡大しているケースも複数確認された。 FTCはこれらの通報を調査しているが、送金後の返金は困難なのが現状だ。多くの被害者は、自己の財務管理経験があるにもかかわらず、感情的なつながりや「億万長者なら返せるはず」という思い込みから、次々と資金を投入した。特に、高齢者や病気で精神的に弱っている人々が最も脆弱な対象となっている。 これらの事例は、AIの発展が詐欺の手口をさらに巧妙にしていることを示しており、マスクの名前を悪用する詐欺は、今後も増加する恐れがある。政府や企業が対策を強化する必要がある。