AIで地震後の土砂崩れを3時間で特定、災害対応の効率化に貢献
5日前
2024年4月3日に台湾東部で発生したマグニチュード7.4の地震では、山間部や遠隔地の村が土砂崩れで大きな被害を受けた。この災害の後、カーバー大学の研究者であるロレンツォ・ナバ氏はAIを活用し、衛星画像から土砂崩れを迅速に特定する手法を開発した。彼は地震発生から3時間以内に7,000以上の土砂崩れを発見し、従来の手作業よりもはるかに効率的だった。 ナバ氏は、光学画像とレーダー画像の両方を用いてAIを訓練し、土砂崩れの検出精度を高めている。レーダー画像は雲や夜間でも撮影可能だが、グレースケールで表現されるため解釈が難しい。こうした課題をAIが補完し、見逃されがちな土砂崩れを発見する可能性がある。 カーバー大学の「CoMHaz」研究グループは、土砂崩れをはじめとする自然災害が連鎖的に発生する「マルチハザード」現象を研究しており、ナバ氏のAI技術はその一環。同グループは、現地の科学者やNGOと協力し、ネパールのバトワールで土砂崩れの早期警報システムの実証実験も進めている。 ナバ氏は、AIの出力が信頼できるものになるよう、モデルの透明性を高める取り組みも進めている。AIは「ブラックボックス」として扱われがちだが、災害対応の現場ではその判断根拠を理解することが重要だ。彼は欧州宇宙機関(ESA)や国際機関と連携し、AIモデルの改善を図るデータサイエンスチャレンジを開始。これにより、AIの判断プロセスを視覚化するなど、現場で使いやすい形にすることが目指されている。
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University of Cambridge