ドイツ企業、AI活用でサイバー脅威に強化対応—NIS2対応とゼロトラストが進む
ドイツ企業が高度なサイバー脅威と厳しい法規制に対応するため、AIを活用したセキュリティ対策を本格的に導入している。情報サービスグループ(ISG)が発表した2025年版「ドイツ向けサイバーセキュリティ サービスとソリューション」レポートによると、企業は量子コンピューティングを活用した攻撃への備えや、ゼロトラスト枠組みの導入を通じて、サイバー耐性を強化している。特に、サイバーセキュリティ人材の不足が深刻な状況にあり、企業は外部プロバイダーに依存して規制対応と脅威対策を進めている。 EUの一般データ保護規則(GDPR)に加え、2025年にドイツで施行予定の「NIS2指令」の導入により、企業はより厳格なセキュリティ基準を満たす必要がある。これに伴い、データ漏洩防止(DLP)やAIを活用したデータ保護ソリューションの導入が急速に拡大している。特に、社員が個人端末で業務を行う「ハイブリッドワーク」の普及により、データの管理が難しくなっており、AI搭載DLPが重要性を増している。 中小企業(SME)も、IT基盤が整っていない中で、自社に合ったカスタマイズされたセキュリティソリューションを外部プロバイダーから導入する動きが加速している。プロバイダーは、価格設定やコミュニケーションの工夫を通じて、SME向けのサービスを拡充している。 ISGのアンドレアス・ファールパートナーは、「ドイツ企業はサイバー耐性と法規制遵守を最優先に、先進的なセキュリティソリューションを急速に採用している」と指摘。AIと自動化が、進化する脅威への効果的な防衛に不可欠だと強調した。 また、アイデンティティ管理(IAM)、拡張検出・対応(XDR)、セキュリティサービスエッジ(SSE)といった技術の重要性も高まっている。レポートでは、IBMが6部門でリーダーに選ばれ、Axians、Controlware、Deutsche Telekomなどが4部門でリーダーに名を連ねた。PwCは顧客満足度で高い評価を受け、「2025年グローバルISG CXスターパフォーマー」に選出された。 ドイツのサイバー環境は複雑かつ急速に変化しており、企業は外部プロバイダーと連携しながら、持続可能なセキュリティ戦略を構築している。