AIが米国沿岸の「幽霊森林」を発見 機械学習で約1200万本の死樹を特定、海面上昇が原因とみられる
4日前
米国沿岸部に広がる「ゴーストフォレスト」――死んだ木々の森が、AIによって初めて大規模に明らかにされた。米国地質調査所(USGS)とカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、機械学習技術を活用して、アトランティック沿岸からメキシコ湾にかけての湿地帯を調査。約1200万本の枯死した木が確認され、その多くは海面上昇による塩水の浸透によって死んだと推定されている。 従来の衛星画像解析では、こうした細かな枯死木の分布を正確に把握することが難しかったが、研究チームは深層学習モデルを用いて、樹木の色や形、周囲の地形の変化を分析。これにより、人間の目では見逃されがちな枯死個体を高精度で検出できた。特に、フロリダやジョージア、ルイジアナなど、気候変動の影響が顕著な地域で、枯死林の面積が急増していることが判明した。 研究の主担当者であるUSGSの科学者によると、「これらの森は、海面上昇が生態系に与える影響を示す『警告のサイン』だ」と指摘。死んだ木は、土壌の炭素貯蔵能力を低下させ、さらに湿地の崩壊を加速する恐れがある。 この調査結果は、AIが気候変動の影響を可視化し、環境保護の意思決定を支援する新たな手段としての可能性を示している。今後、同手法は北米だけでなく、世界中の沿岸地域での生態系モニタリングに広く応用される見込みだ。