Amazon、NVIDIA AIとデジタルツインでゼロタッチ製造実現へ重大進展
アマゾンのDevices & Services部門は、NVIDIAのデジタルツイン技術とAIを活用し、ゼロタッチ製造の実現に大きな一歩を踏み出した。今月、アマゾンの製造拠点で導入されたこの新技術は、物理的なプロトタイプを必要とせず、合成データに基づいてロボットアームを訓練することで、多様な製品の品質検査や生産ラインへの新製品導入を自動化する。この「シミュレーション先行」アプローチは、実際の工場環境に即してAIモデルを学習させ、物理的な変更なしに柔軟に製造プロセスを変更可能にする。 アマゾンが開発したソフトウェアとNVIDIAのデジタルツイン技術を組み合わせ、製品のCADモデルをNVIDIA Isaac Sim(Omniverseプラットフォーム上)に投入。これにより、各製品について5万枚以上のリアルな合成画像が生成され、物体認識や欠陥検出モデルの訓練に活用される。さらに、Isaac ROSとNVIDIA cuMotionを用いて、ロボットアームの衝突回避経路を高速で生成。NVIDIA Jetson AGX Orinモジュール上で、1秒未満で動作経路を算出可能となる。 AIモデルの訓練は、AWSのEC2 G6インスタンスとAWS Batchを活用し、分散型で実施。また、製品仕様書の解析に基づき、Amazon Bedrockを用いて高レベルの作業計画と検査テストケースを自動生成。Bedrock AgentCoreは、複数の工場ステーション間での自律的なワークフローを計画可能にし、3D設計や表面特性といったマルチモーダルデータも処理できる。 特に注目すべきは、NVIDIAのFoundationPoseという基礎モデル。500万枚の合成画像で学習されたこのモデルは、未経験の製品に対しても正確な位置と向きを推定でき、データ再収集なしに新製品への対応が可能。これにより、製造ラインの変更がソフトウェアの更新だけで実現する「汎用的製造」の実現が加速している。 この技術は、欠陥検出や組立、包装、検査といった全工程に応用可能。今後はNVIDIA Cosmos Reasonなどの高度な推論モデルとの統合も予定されており、アマゾンはAIとデジタルツインによる次世代製造の基盤を確立している。