スアップィオ、トムソンロイターと提携し、AIを人身傷害専門法律事務所に提供。2025年のサミットでAI製品の大規模拡張を発表。
米国個人傷害訴訟市場(2024年推定613億ドル)におけるAI技術の革新が進む中、Supioは2025年4月、Thomson Reutersとの戦略提携を発表し、AI駆動のケース準備プラットフォーム「CaseAware AI™」の拡張を同時に発表した。この提携は、ニューヨークのThomson Reuters本社で開催された「Supio Summit 2025」で正式に発表され、個人傷害法務市場におけるAIの本格的な導入を加速する転換点となった。 個人傷害弁護士は、通常、1件の事件で数百時間にわたって医療記録や請求書を手作業で精査する必要があり、これが和解の遅延や案件数の制限につながっている。SupioのAIプラットフォームは、この課題を解決するため、医療記録や請求書、訴訟文書の大量処理を自動化。AIは経験豊富な弁護士の思考プロセスを模倣し、時間軸や請求書の作成を数分で完了。人間による検証を組み合わせることで、97%という高い正確性を実現。ユーザーの報告では、案件処理能力が最大62%向上し、和解金額は10倍以上にまで増加した。 今回の発表では、CaseAware AIの機能が大幅に拡張された。新機能として「Supio Inbound™」では、音声認識を活用した「Supio Voice」により、顧客との初回連絡から情報をリアルタイムで収集し、24時間体制で案件情報の入力が可能に。また、「Case Engine™」では、医療記録がアップロードされた瞬間から自動でタイムラインを構築し、治療の空白や請求漏れを「Case Signals™」で検出。さらに「Instant Demands」でブランド化された請求書を数分で生成可能。これらのツールにより、訴訟前の準備が劇的に効率化される。 さらに「Case Bench™」として、訴訟段階でのAIアシスタント群が登場。訴状や証人尋問書、専門家報告書の起草、および証人尋問のリアルタイム録音・分析が可能。AIは証言の矛盾を発見し、法的戦略をサポートする。加えて、リスクフリーの利用モデルを導入。長期契約を強要せず、企業が自らのペースでAIを導入できる環境を整えた。 Thomson Reutersのアーロン・ラデマッチャー氏は、「CoCounsel Legalの統合ソリューションに専門AIを加えることで、弁護士が業務を効率化し、クライアント対応を強化できる」と強調。Supioのジェリー・チョウCEOは、「AIは単なる検索ツールではなく、チームの一員として働く『第二の弁護士』である」と述べ、法律業界の『工業化』を推進する新たな時代の到来を宣言した。 同社は2024年中に9100万ドル以上の資金調達を達成し、2万7000件以上の案件を処理、過去1年間で10億ドル以上の和解金を支援。Thomson Reutersとの提携により、AI技術の普及がさらに加速し、個人傷害訴訟の効率性と公正性の向上が期待される。