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ドイツ企業、コンプライアンスと制御を重視しハイブリッドクラウドへ移行

3ヶ月前

ドイツ企業が規制対応とデータ管理の強化を目的に、公共クラウドからプライベートおよびハイブリッドクラウドへの移行を加速している。情報サービスグループ(ISG)が発表した2025年版「プライベート/ハイブリッドクラウド – データセンターサービス」レポートによると、企業は経済の不透明さや規制強化、データセキュリティの懸念から、ITインフラの見直しを進めている。特に、データの国内保管(データリジデンス)や運用の安定性を重視する傾向が顕著で、コスト管理とスケーラビリティを両立できるハイブリッドモデルの採用が広がっている。 同レポートは、企業が自社所有のデータセンターの物理面積を縮小し、コロケーションサービスへの依存を高めていると指摘。外部専門家の支援と標準化されたインフラにより、運用効率の向上とコスト削減を図っている。また、生成AI(GenAI)の活用も進んでおり、企業は過度な期待と実際のビジネス効果の差を慎重に評価しながら、予測分析や知能化自動化に向けたインフラ投資を段階的に行っている。 さらに、IoTデバイスの増加や低遅延を要するアプリケーションの需要に応じ、エッジコンピューティングに対応するデータセンターの展開も進んでいる。特に製造、医療、スマートシティなどの分野では、ユーザーに近い場所にデータ処理拠点を配置することで、リアルタイムの意思決定を可能にしている。 ISGのワルター・ハインハウス上級アナリストは、「新規クラウドモデルとAIツールにはメリットがあるが、統合やコンプライアンスのリスクも伴う」と警鐘を鳴らし、信頼できるサービスプロバイダーによる標準化されたインフラの導入が鍵になると強調した。 レポートでは、Arvato Systems、Deutsche Telekom(T Business)、Kyndryl、q.beyondが3つの分野でリーダーに選出された。また、Accenture、Capgemini、Infosys、NTT DATA、T-Systemsなど20社以上が2分野でリーダーに認定された。さらに、CONVOTIS、Grass-Merkur、LTIMindtreeらが「将来性のある新興企業(Rising Star)」に選ばれた。顧客体験の面では、Persistent Systemsが2025年のグローバルISG CXスター・パフォーマーに選ばれ、顧客満足度で最高評価を受けた。 ドイツ企業のIT戦略は、AI活用とセキュリティ、コスト効率のバランスを取る「制御された進化」を特徴としており、ハイブリッドクラウドはその中心的な基盤となっている。

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