AIが2000年ぶりにベスビオ火山の灰から救出した焦げた巻物の著者を特定 ベスビオ火山の噴火によって埋もれた古代ローマの町ヘルクレネウムから回収された焦げた巻物から、AIが初めて作者とタイトルを特定しました。その内容はエピキュレanism哲学者フィロデモスによる「On Vices」で、VICEを避けてVIRTUEある人生を送るための古代の自己啓発書として知られています。この発見により、研究チームはヴァズヴィオ挑戦賞のファーストタイトル賞として6万ドルを受賞しました。
AIが2,000年間封印された焦げた巻物の作者を特定 初めて、研究者が単層も剥がさずに、2,000年以上前から焦げた巻物(PHerc. 172)内に封印されていた文書の著者とタイトルを特定しました。この巻物は、紀元79年にベスビオ火山の灰と破片に埋没した古代ローマの町エクルラヌムの遺跡から発見され、現在はオックスフォード大学ボドリアン図書館に保管されています。高解像度スキャンと高度な機械学習により、学者たちは仮想的にパピルスを「解読」し、内部の名前「On Vices, by the Epicurean philosopher Philodemus」を読み取りました。 『On Vices and Their Opposite Virtues and In Whom They Are and About What』というこの論文は、エピキュロス哲学の哲学者フィロデモスによって紀元前1世紀に書き留められ、その後、ベスビオ火山の大噴火で長らく埋もれていました。この作品は主に、「悪徳を避け健全な生活を送る方法」をテーマに扱っており、古代版の自己啓発書とも言えるでしょう。 解読プロジェクトの成功と賞金 この発見は、複数の研究チームによって確認され、ベスビウス・チャレンジからの60,000ドルのファースト・タイトル賞を受賞しました。ベスビウス・チャレンジは、AIを用いて古代の焼け焦げた文書を読み取るオープン・サイエンス競争であり、近年、人工知能がエクルラヌムの焼け焦げた巻物の解読に大きく貢献しています。エクルラNuムの巻物は18世紀に現在の「パピリの別荘」で発見され、古典世界から唯一生き残っている図書館の一部とされています。 伝統的な手動による巻物の剥がし方では多くの場合破損してしまうため、研究者は2015年以降、X線断層撮影(X-ray tomography)や微細CTスキャン(micro-CT imaging)など、最新の影像技術を活用してテキストを読み取る方法を開発しました。特に2019年には、大学のケンタッキー大学の研究チームが、カーボンベースの墨の微かな痕跡を検出するプログラム「Volume Cartographer」を開発し、成功しました。 技術革新と今後の展望 2023年にベスビウス・チャレンジが立ち上げられ、参加者は特に畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural networks)やトランスフォーマー・モデル(transformer models)のようなAIツールを用いて未開封巻物内のテキストを識別・再構成します。2023年10月には、「紫」が最初の単語として読み取られて40,000ドルの賞金が支払されました。 現在のボトルネックは、AIが認識したインクの跡データのクリーニング、整理、強化の部分にあるとケンタッキー大学のコンピュータ科学者でベスビウス・チャレンジの共同設立者でもあるブレント・シールズ氏は述べています。デジタル解読過程では、AIが可能性のあるインク領域を強調しますが、学者がパターンを解釈して言葉やフレーズを確実に形成しているかを判断します。最終的には、失われた哲学文書の回収だけでなく、大規模な古典文献のデジタイズ化と解読システムの確立を目指しています。 業界の反響 このプロジェクトの成功は、古典研究における革命的な進展と見られており、同競争を通じて得られた技術が今後、他の未解読文書の解釈にも活用されることが期待されています。また、ケンタッキー大学は、先端的なデジタル考古学技術の開発に尽力している研究機関の一つで、その成果は広く認められています。