GoogleがAI市場で急成長、OpenAIの首位を脅かす勢い
グーグルがOpenAIの市場シェアを急速に侵食している可能性がある。メンロ・ベンチャーズが公開したEnterprise LLM API市場シェアの推移グラフによると、OpenAIのシェアは2023年の50%から2024年には25%まで低下。一方、グーグルのGeminiは7%から20%へと急成長。特に注目すべきは、グーグルが三つの主要プラットフォーム――Android、Geminiアプリ、Google検索――を軸にAIを広く展開している点。さらにGoogle Cloud AIとの統合を加えると、四つの分布チャネルを持つ。この構造的優位性が、AI市場での競争力を強化している。 この展開は、グーグルが過去に何度も繰り返してきた戦略と一致する。Googleは「遅れて参入し、最終的に市場を制する」パターンを、過去に数多く実証してきた。 Gmail(2004年):HotmailやYahoo Mailに比べて1GBの無料ストレージと高度な検索機能で差別化。現在、18億人以上のアクティブユーザーを擁し、世界最多のメールサービスに。 Chrome(2008年):IEやFirefoxが支配する市場に参入。高速性、シンプルなUI、頻繁なアップデート、Android搭載によるバンドル戦略で急成長。現在、世界のブラウザシェアの約60%を占める。 Google Maps(2005年):MapQuestやYahoo Mapsに先んじて、衛星画像、ストリートビュー、サービス連携で優位性を確立。今や世界の地図サービスの標準。 Android(2008年):iOSの登場後、オープンソース戦略とメーカー提携でスマートフォンOS市場を席巻。現在、70~80%の市場シェアを維持。 YouTube(2006年):Vimeoなど既存サービスに遅れて参入。コンテンツの多様性とプラットフォームの拡張性で、25億人以上の月間ログインユーザーを獲得。 Google Search(1998年):AltaVistaやYahooに先んじて参入。PageRankアルゴリズムによる検索精度の高さが評価され、現在では世界90%以上の検索市場を支配。 これらの歴史から読み取れるのは、グーグルが「初期のリーダーに遅れて参入しても、インフラ、ユーザー基盤、エコシステムの強さで市場を再編できる」点だ。Geminiが今まさにそのプロセスの真っ只中にある可能性がある。OpenAIの技術的優位性は依然として高いが、グーグルが持つ分布力とインフラの強さが、AI時代の「ラストマイル」を握る鍵となるかもしれない。