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バタフライネットワーク、AI搭載の主動脈弁・主動脈スクリーニングの新研究とトレーニングツールを発表

3日前

バタフライネットワーク(Butterfly Network, Inc.)は、手のひらサイズの全身体積超音波装置「Butterfly iQ+」を活用し、機械学習(ML)モデルによる主動脈弁狭窄(AS)の早期発見の可能性を実証する研究を発表した。この研究はトゥーフス医療センターが主導し、『European Heart Journal – Imaging Methods and Practice』に掲載された。ASは高齢者に多く、75歳以上で13%以上が影響を受けるが、多くの症例が進行してから発見されることが多く、早期診断が遅れると手術リスクが上昇し、予後も悪化する。特に医療アクセスが限られる高齢者や未開拓地域の患者では、診断漏れが深刻な問題となっている。 研究では、病院用の高精度超音波画像で学習したMLモデルを、手軽なButterfly iQ+に最適化。特にニューラルネットワークの最終層を微調整した結果、正常と任意のASの区別において、受信者操作特性曲線下面積(AUROC)0.94という極めて高い精度を達成。これは臨床現場でのスクリーニング用途に十分な性能であり、心臓専門医や超音波技師に限らず、一般医や看護師といった低レベルの医療提供者もAI支援でASをスクリーニングできる可能性を示している。 ドクター・ジョン・マーティン(同社名誉最高医療責任者)は、「AIを活用した携帯型超音波は、地域医療現場や在宅ケア、介護施設など、従来の画像診断が困難な場所での早期発見を可能にする」と語り、医療の民主化に向けた前進を強調した。 さらに、同社はAI搭載の教育アプリ「Butterfly ScanLab™」に「大動脈検査プロトコル」を新規追加。アニメーション、解剖学的ラベル、画像品質評価機能を活用し、腹部大動脈の検査方法と正常な構造の認識を学べる。iPadで利用可能で、全会員に無料提供され、既存のプローブと互換性がある。これにより、医療従事者は腹部大動脈瘤や剥離といった命に関わる疾患を、ポータブル超音波で早期に発見できるようになる。 ジョセフ・デヴィーボCEOは、「早期発見は命を救う。しかし、画像診断へのアクセスは大きな障壁だ。AIと教育を組み合わせることで、これまで不可能だった場所でも proactive(積極的)な医療が実現できる」と語り、診断の民主化を掲げる。 バタフライネットワークは、2018年に世界初の1本のプローブで全身超音波が可能な「Butterfly iQ」を発売。その後iQ+(2020年)、iQ3(2024年)と進化。iQ3は2024年パリ・ガリエン賞で「最高医療技術」を受賞。同社の技術は、半導体技術を用いた「Ultrasound-on-Chip™」と、クラウド連携のワークフローソフト「Compass™」で構成され、医療コスト削減と診療効率向上を実現。アジア、アフリカ、北米など世界中の医療現場で活用されている。

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