インド発AI開発プラットフォーム「Rocket.new」、1500万ドル調達で本格展開へ
インド発のAIアプリ開発スタートアップ「Rocket.new」が、AccelとSalesforce Venturesの主導で1500万ドルのシードラウンドを調達した。同社は、自然言語によるプロンプトから本格的な生産環境対応アプリを構築できるAIプラットフォームを開発しており、LovableやCursor、Boltといった「バイブコーディング」系競合に挑む。本調達は、同社が6月にベータ版をリリースしてからわずか3か月後のもので、AccelとTogether Fundも参加した全株式による資金調達。 Rocket.newの共同創業者兼CEOであるビシャル・ビラーニ氏は、TechCrunchとのインタビューで「初日だけでなく、『2日目』の課題——つまり保守・拡張・デプロイメント——を解決する初めてのバイブソリューションプラットフォーム」と説明。現在のバージョン0.3では、すでに50万アプリが生成され、180カ国で40万人以上のユーザーが利用。うち1万以上が有料会員で、年間定期収益(ARR)は450万ドルに達している。目標は2025年末までに2000万~2500万ドル、翌年6月までに6000万~7000万ドルに引き上げることだ。 同社は、ダイヤモンドと繊維産業で知られるサルートに拠点を置き、前回の事業「DhiWise」から転換。AIを活用してコード生成だけでなく、競合調査やプロダクト開発の支援まで行う「エージェント型システム」の構築を目指している。ユーザーの45%がモバイルアプリ、55%がウェブサイトを構築しており、12%が小売・アパレル系EC、10%がフィンテック、5~6%がB2Bツール、4~5%がメンタルヘルス関連アプリを生成。特に「本格的なアプリ」を構築するユーザーが80%に達するという。 プラットフォームはAnthropic、OpenAI、Google GeminiのLLMと、DhiWiseの独自データセットで学習した自社の深層学習システムを統合。生成時間は約25分と他社より遅いが、必要なモジュールが一括で整備され、より完成度の高い出力が可能。無料トライアルは100万トークンまで、以降は月額25ドル(500万トークン)から。このモデルにより、趣味ユーザーは排除され、50~55%の粗利益率を確保。今後は60~70%まで引き上げる計画。 米国が最大市場(収益の26%)、次いで欧州(15~20%)、インド(10%)。「米国向けにパロアルトに本社を設立」する予定。初期の成長は口コミとSNSによる自然拡散で実現。今後はマーケティング戦略の強化と、自社モデル開発・研究開発の加速を進める。Salesforce Venturesの投資家カールティク・グプタ氏は、「AIによるコード生成の『魔法』と、実際のプロダクション環境での運用のギャップを埋める唯一のプラットフォーム」と評価した。現在のチームは58名、今後12か月でエンジニアとプロダクトチームをインドで倍増する予定。