マイクロソフト、自社開発AIモデル「MAI-1-preview」を公開テストへ
マイクロソフトは、自社開発のAIモデル「MAI-1-preview」の公開テストを開始した。この動きは、同社がOpenAIに依存するAI戦略を見直し、自社のAI競争力強化に本格的に乗り出すことを示している。MAI-1-previewは、ユーザーが評価できるプラットフォーム「LMArena」で公開され、現在のテキスト処理タスクにおいて13位にランクイン。OpenAIやGoogle、Anthropic、Mistral、xAI、DeepSeekなどのモデルに次ぐ位置にあり、まだ初期段階であることがうかがえる。 マイクロソフトは、今後数週間でCopilotの一部のテキスト処理機能にMAI-1-previewを段階的に導入し、ユーザーのフィードバックをもとに改善を進める予定。開発者向けに早期アクセス申請用フォームも公開しており、技術コミュニティとの連携を強化している。 同社は依然としてOpenAIの主要投資家であり、同社のモデルをBingやWindows 11など自社製品に活用している。しかし、2023年の年次報告書でOpenAIを「競合企業」と明記するなど、関係は競争と協業の両面を兼ね備える形に変化している。また、OpenAIもCoreWeaveやGoogle、Oracleといった他社のクラウドインフラを活用し、ChatGPTの利用者数が週7億人を突破するなど、拡大を続けている。 MAI-1-previewは、約1万5000台のNVIDIA H100 GPUと、GB200チップを搭載した計算クラスタを活用して訓練された。マイクロソフトAI部門CEOのマスターファ・スレーマン氏はX(旧Twitter)で、「自社でエンド・トゥ・エンドに訓練した初の基盤モデル」と強調。彼はかつてOpenAIの競合企業であるInflectionの共同創業者であり、その後DeepMind(グーグル買収)の幹部でもあった。同氏が率いるチームは、近年グーグルDeepMindから約20名の研究者を引き抜き、急速に拡大している。 この動きは、マイクロソフトが自社のAI基盤を確立し、OpenAIとの関係を「戦略的パートナーシップ」として維持しつつ、競争力を高めるという二面的な戦略を示している。