Nvidiaが5億ドル投資、Cohereの評価額が68億ドルに上昇
米国企業Nvidiaが5億ドルを投資したことで、カナダ・トロントを拠点とする企業向け大規模言語モデル(LLM)開発企業Cohereの評価額が50億ドルから68億ドルに上昇した。この資金調達はRadical VenturesとInovia Capitalが主導し、Nvidia、AMD Ventures、Salesforce Venturesらも参加。Cohereは「Command」シリーズのモデルを提供しており、特に今年3月に登場した「Command A」はGPT-4と同等の性能を発揮すると同時に、応答速度を75%向上させたと公表している。また、長さ200ページに及ぶ多様な文書や画像を含むマルチモーダルデータを処理できる高精度の「埋め込みモデル」も提供。企業ユーザーはクラウドAPIで利用可能で、必要に応じて「隔離構成」によるローカル展開も選択可能。この設定ではモデルは内部ネットワーク内でのみ動作し、外部との接続は不可。 Cohereの需要は急拡大しており、『情報週刊』の報道によれば、2024年末までの年間売上高が2億ドルを超える見込み。これは2月時点の予測と比べてほぼ倍増となる。新たな資金を活用し、Cohereは人事面でも強化。マシンラーニング研究者として知られるジョエル・ピネオが新任の首席AI責任者(CAIO)に就任。彼はMetaのFAIR研究所を率いていた経歴を持ち、同社が先日発表したAI生産性プラットフォーム「North」の開発に注力する。また、元Uber幹部のフランソワ・チャドウィックがCTOに任命され、今後の上場準備やM&A戦略の推進が見込まれる。 Cohereは先ごろ、AIエージェントによる市場調査を加速するプラットフォームを開発するバンクーバー企業Ottogridを買収。今回の5億ドル調達は、こうした戦略的拡大を支えるものとみられる。今後、CohereはAI開発チームの拡充や、メタからの研究者採用も視野に入れ、企業向けAIのリーダーとしての地位を強化する。