JPMorgan、OpenAIのリサーチノートで非公開企業カバレージに乗り出す
主な要約 JPMorgan Chaseが私企業のカバレッジを拡大し、特に新経済領域での影響力を持つ企業に焦点を当てる動きが出ている。同社のグローバルリサーチ部門責任者であるHussein Malikは、内部メモで「この新しいオファーは、私たちのクライアントから見られるプライベート市場への成長と関心に対応するため、カバレッジと研究の範囲を拡大することを目指しています」と述べた。「特に新経済空間において、私企業はますます重要な役割を果たしています」とMalikは続けた。 この動きは、多くのスタートアップ企業が公開を遅らせる傾向があることを受けたものである。Morningstarのデータによると、10年間で公開までの平均年齢が6.9年から10.7年に上がっている。これは、OpenAIやSpaceXといった企業への資金調達の増加が主な要因であり、民間資本とベンチャーキャピタルの拡大が背景にある。Pitchbookの推定によれば、私企業市場には18.7兆ドルの資産が投入されており、2029年末までには24兆ドルに増える予定だ。2020年から2023年の間に、アメリカでは1,200社以上のスタートアップがユニコーン(valuation $10億以上の企業)になったとMalikはクライアント向けに述べた。これは2016年から2019年の間に330社だったことと比較すると、著しい増加である。 JPMorgan ChaseのCEOであるJamie Dimonも、パブリック企業の減少傾向に言及しており、「この傾向は深刻であり、さらに悪化する可能性がある」と述べている。2023年には4,300社のパブリック企業しか存在せず、1996年のピーク時には7,300社あったことを報告している。「これで本当に良い結果が得られるのか?」とDimonは疑問を投げかけている。 JPMorgan Chaseは、最初の私企業レポートとしてOpenAIを選択した。OpenAIは、ウォール街のAIブームを引き起こした企業であり、これらのレポートでは伝統的な株式評価や目標価格ではなく、構造化された情報と追跡、および主要な革新企業の業界に対する影響について深く洞察を提供する予定である。 インスティテューショナル投資家は、これらのスタートアップが成熟した業界を変革する技術を開発していることに注目しており、早い段階からそれらの企業をより詳細に分析する必要性があると指摘している。現在、北米では1,000社以上のユニコーン企業があり、総額でほぼ4兆ドルの価値があるという。 Wall Streetは、プライベート市場への需要の高まりに合わせて調整しており、市場の力を評価する方法が変化していることを示している。 背景の補足 JPMorgan Chaseのこの新施策は、金融機関としての位置づけを強化し、クライアントの投資戦略を支援するためのものであり、専門家や業界からの支持を受けている。私募やベンチャーキャピタルの活況が、プライベート企業の重要性を高めている。企業の公開までの期間が長期化することで、プライベート市場の動向を注視する投資家のニーズが高まっている。 この流れは、金融市場全体に大きな影響を与えている。パブリック企業の減少により、プライベート企業が市場の主要プレイヤーとなってきている。JPMorgan Chaseの新たな研究レポートは、ユニコーン企業の価値と影響力を理解する助けとなり、投資家の情報収集に役立つことが期待される。