OpenAI、社内AIツール「GTMアシスタント」「サポートエージェント」を公開 開発の裏にいた“人間の知恵”とは
OpenAIは、DevDayカンファレンスで自社が内部で開発・運用しているAIツールの詳細を初めて公開した。同社のスコッティ・フーン氏が登壇し、営業・カスタマーサクセス・オペレーション部門の業務効率化を目的とした3つの内部ツール——GTMアシスタント、OpenHouse、Support Agent——を紹介した。いずれも現在は社内限定の利用にとどまっており、今後外部向け製品として提供するかどうかについては「まだ初期段階」として明言を避けた。 GTMアシスタントは、営業チームがクライアントとのミーティングやデモの準備、フォローアップを効率的に行えるように支援するツール。同社の優秀な営業担当者「ソフィー」の実践的なスキルをAIに抽出・学習させ、100以上の顧客向けデモ素材を基にモデルを訓練。社内400人以上のメンバーが活用しており、不足した情報は従業員からのフィードバックで継続的に改善されている。 OpenHouseはHRツールで、SlackやWorkdayといった既存の社内システムと連携。例えば、ニューヨーク出張時に現地の関係者や関連情報を探したい場合、AIが関連する社員を提案。実際にその情報を活用して準備を整えた事例も紹介された。 Support Agentはカスタマーサポートの効率化を目的。画像生成機能導入後の需要急増期に、サポートチケットが急増。しかし、Support Agentの導入によりチケットの「回避率」(自動対応率)が向上し、顧客満足度も大幅に改善された。AIは対話内容を評価プロセスにフィードバックし、継続的に精度を高める仕組みだ。 フーン氏は、これらのツールの根幹にあるのは「人間の知恵」であると強調。特に「ソフィー」のような優れた従業員のスキルをAIに抽出・再利用したことが成功の鍵だと語った。最後に、自社ツールの販売ではなく、開発者自身がAgentKitなどを活用して自社に合ったAIエージェントを構築するよう呼びかけた。「あなたのチームにいる『ソフィー』を見つけよう」と結んだ。 この発表は、OpenAIが自社のAI技術を内部業務に活用しているだけでなく、他社が自社の「人間の知恵」をAIで再構築する可能性を示唆している。